寒い時期は汁物をアテに酒を飲むのがいい。特に「うまい」と思うのは宴のはじまりだ。冷え切ったカラダにだしがきいた汁物を一口飲んだ後、日本酒を流し込むと一気に心身がほどける。おでんのだしで日本酒を割った「だし割り」もいいが、個人的には汁物と日本酒それぞれの味を別々に楽しむほうが好き。自分好みで調整できるからだ。
汁物と日本酒が合うのには、れっきとした根拠がある。日本酒には旨味成分の代表格グルタミン酸がたっぷり。かつおや昆布などでだしをとった汁物もまた、グルタミン酸、イノシン酸などを多く含む。双方を合わせると旨味が倍増し、さらには日本酒にはない塩味が汁物によってプラスされることで五味のバランスが整う。これが後を引く理由である。
汁物はまた、満腹にならないのがいい。満腹になると杯も進まなくなるし、箸もストップしてしまう。つまり腰を据えて飲みたい酒飲みにとって、汁物はもってこいのアテなのである。
つい最近、「やられた」と思ったのは近江鴨と大根の汁物と、「天美 純米吟醸 うすにごり生原酒」(山口県・長州酒造)の組み合わせだ。鴨の上品な脂と、ジューシーな酒の甘味が口の中で一緒になると、単品では決して味わえない重厚感のあるおいしさになる。家飲みなら、しじみの潮汁と「菊正宗 上撰 辛口きもと」(兵庫県・菊正宗酒造)を推したい。力強い潮汁の旨味を、酒がグイッと後押しする。潮汁を作る際、酒を加えると、さらに一体感が増す。ハイボールなら、コンソメ系のオニオンスープやポトフなどが断然おすすめ。汁物はコンビニでも充実しているので、大いに利用したい。
本来なら汁物は酒を飲んだ後の〆に出されるのが一般的だが、酒飲みからすればそんなことはどうでもいい。とどのつまり、うまければ何でも酒のアテになるのだ。













