【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#605】南アフリカ共和国東南部にあるクワズール・ナタール州。この地では、かつて一度だけ目撃されたUMA情報が残っている。その名前は「シルワネ・マッツィ」といい、バントゥー語で「不快な水生動物」を意味するという。
1937年のこと。アレコ・リリウスという人物が、モフォロジ川の河口で奇妙な生物を目撃した。彼が、その地点を捜索すると、長さ40センチ、幅33センチ、歩幅1・2メートルにもなる足跡を発見したのだ。そして、その足跡は3本指であったという。
このUMA、先にも言ったとおり、目撃はこのたった一例のみだ。リリウスの証言によれば、体表がうろこに覆われていたということだが、そのほか具体的な大きさや容姿などは記録に残っていないようである。
少なくとも情報としては、米国の小説家兼ノンフィクション作家であるマイケル・ニュートンの「未確認動物学百科事典」で取り上げられているとのことだ。
また、未確認動物学者アイヴァン・T・サンダーソンは、その正体として、ハドロサウルスもしくはハドロサウルス科の恐竜の生き残りではないかとの説を唱えている。ハドロサウルスとは、白亜紀後期に生息していた大型の草食恐竜であり、この仲間からアジナビア(アイナビア)という恐竜がモロッコで生息していたことが確認されており、候補として名前があげられている。
シルワネ・マッツィは本当に恐竜の生き残りUMAなのだろうか。しかし、懐疑的な見方をする人々からは、その正体は全く別のものなのではないかとする反論も当然ながらある。
そもそも、先述したシルワネ・マッツィという呼び名についても、疑問が残っている。この名称については、どのタイミングでそう呼ばれるようになったかが定かではない。ただ、実はこの名称は一般的に「ワニ」(クロコダイル)を意味する言葉にすぎないとの説があるのだ。
もちろん、直訳では「不快な水生動物」を意味することには間違いないようなので、広義でこの名称を使用している可能性も考えられるだろう。
これ以外にも、3本指という足の形状や足跡の比率から「サイ」ではないかという説も唱えられており、アフリカに生息するものとしてシロサイを候補としてあげることが可能となるだろう。
だが、たった一度だけの目撃という情報源では限界もあるだろう。シルワネ・マッツィは、UMAの中でもきわめて情報が少なく、そして謎多き存在の一つなのだ。












