ベテランの闘志は健在だ。陸上の男子マラソンで活躍する川内優輝(37=あいおいニッセイ同和損保)は、2023年秋のパリ五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で見せ場たっぷりの大逃げを披露して4位に食い込んだ。昨年は左足のケガなどで苦しい1年を過ごしたが、本紙の単独インタビューで完全復活を宣言。28年ロサンゼルス五輪代表選考会となるMGCの出場権獲得を今年の目標に掲げ、数々の野望も明かした。

 ――昨年はケガに苦しんだが回復具合は

 川内 ようやく練習ができるようになってきたが、まだ少し張りが残っている。国立スポーツ科学センターでリハビリを続けていて、7割ぐらいまで回復したので、大きな進歩かなと思う。昨年はフルマラソンのベストが2時間20分も切れず、ハーフマラソンも70分を切ったのは1回だけと悲惨だったけど、今は65~70分で走れるようになってきた。少しずつって感じ。

 ――なぜ今年の目標をMGC出場権獲得に?

 川内 本当は(9月に開催される)東京の世界選手権代表を狙うために(2月の)大阪マラソンに出る予定だったけど、そこはやっぱり無理だった。そうであれば長い目で、次のロサンゼルス五輪のMGCを意識して、相性がいい防府読売マラソン(12月)優勝を狙いたい。優勝を狙う走りをすれば、間違いなくMGCの出場権は取れると思うので、そこが一番の目標になるかなと思って設定した。

 ――ロサンゼルス五輪はどう考えているのか

 川内 五輪への思いというよりは、単純にMGCでいい走りをする。その結果が、場合によっては五輪につながると思うし、つながらなくても存在感のある走りを見せることでいろんな人に刺激を与えられると思う。前回のパリ五輪のMGCと同じような気持ちで頑張っていきたい。

 ――パリ五輪のMGCはファンを沸かせた

 川内 五輪選考を抜きにして、反響がすごい大きかった。「久々に川内さんテレビで見たよ」や「川内さんまだ走っていた」などいろんな声をいただけて、やっぱりすごいなと思ったし、私も次のMGCは40歳で迎える。今まで40歳でMGCを走った選手はいないので、初めての40歳のMGCランナーとして挑みたいという野望があるので目標にしている。

 ――ちなみに他にも野望はあるのか

 川内 47都道府県全ての市民マラソンを走りたい。47都道府県全てのレースを走るのは4月の和歌山で達成になるが、市民マラソンは広島と兵庫が残っている。広島は10月に走る予定があるけど、兵庫だけ市民マラソンを走れていないので、それをなるべく早く達成したい。

 ――以前はグレート・ワールド・レース(世界7大陸で毎日フルマラソンを走るレース)を走りたいとも話していたが

 川内 今はなかなかスケジュール的にも厳しい。前回はスケジュールが合いそうだったけど、行けなくて…。いずれは、7大陸のマラソンをやるかどうかは別として、南極は走ったという日本人も何人かいるので、私も南極のマラソンはいつか走りたいなと思う。

 ――自己ベストの更新も狙っていくのか

 川内 そうですね。自己ベストを4年間更新できていないので、そろそろひと皮むけて、2時間6分台に突入しなきゃいけないと思っている。あとは勝負強さ。海外のレースからお声がけいただいても、昨年はケガをしていたのでなかなか出られなかった。今年はその海外レースでしっかりと世界の強豪たちと戦って、経験を積むことが自分の人生にもプラスになるのかなと思っている。

☆かわうち・ゆうき 1987年3月5日生まれ。東京都出身。学習院大時代に関東学生連合(当時関東学生選抜)の一員として箱根駅伝に2度出場。2009年からは「公務員ランナー」として活動し、18年ボストンマラソンで優勝。世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」で日本勢初制覇を果たした。世界選手権には4度(11、13、17、19年)出場。19年4月、プロに転向した。自己ベストは21年びわ湖毎日マラソンでマークした2時間7分27秒。175センチ。