【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#603】アメリカ合衆国アイオワ州の都市オスカルーサ、その郊外を流れるスカンク川に生息すると言われる「スカンク・リバー・モンスター」は、長い首と太い胴体に40センチを超える大きな歯を持ち、体を厚いうろこに覆われて四本足で移動する怪物だ。鼻先から尻尾までおよそ25メートルもあり、言うなれば巨大な爬虫類系UMAといったところだろう。

 1884年11月、オスカルーサ郊外で農場を営むジェームズ・ライトのもとで、およそ100頭のブタが飼育されていた。農場は牧羊犬のほか、太い柵に有刺鉄線のフェンスをこしらえた厳重な囲いを備えていたのだが、ある日、大きなブタが1頭いなくなっていた。

 その日を境にブタがどんどん消えていき、12月頭には消えたブタが20頭以上にも及んだ。不思議なことに、フェンスには特に異常が見られず牧羊犬が暴れた様子も、ブタの血痕などもなかった。

 ブタの脱走ではなく何者かの窃盗だと考えたジェームズは、猟銃を持ち、猟犬を率いて夜の農場に赴いた。明け方となったその時、近くを流れるスカンク川から激しい水飛沫(しぶき)が鳴り響き、そこから巨大な怪物が農場に向かって移動してきた。

 怪物は、フェンスの上空から首を農場に突っ込み、1頭のブタにかみついて空中へ放り投げ、地面に落ちた豚を再びくわえて川に戻っていったのだ。ジェームズは、すぐさま町の人々に一連の出来事を説明し、怪物の討伐団が結成された。

 討伐を開始したある日、1人のハンターが川の中をうごめく巨大な影を発見、応援によって数十人による一斉射撃が行われた。ところが、その体にはなんらダメージを与えられなかったのだ。

 討伐はその後再度決行されたが、約2000発に及ぶ銃弾ですら怪物の体に傷を負わせることはできなかった。人々は市にこのことを報告、5キロもの大砲の貸し出しが許され、ついに大砲の攻撃によって怪物を仕留めることに成功した。

 怪物の死骸はその後、研究者のハンツマン博士とアル・スワルムのもとで解剖された。そして、解剖後には剥製にされ、骨格標本も作られたという。この一連の出来事は、ニュートン・ヘラルド紙をはじめとしてオスカローサ・サタデー・ヘラルド紙など、各所の新聞で報じられ話題となり、瞬く間にスカンク・リバーの怪物の話は米国各地に広まった。

 ところがこの話、実際は全くのデマであるとされている。なぜなら、この怪物に関する写真などが一切確認されておらず、前述した剥製や骨格標本も作られたとの一報があって以降、何も情報がない。

 また、当時は新聞の発行部数を増やすために事実ではなく扇情的な記事を報道するという「イエロージャーナリズム」が横行していた時代でもあった。こうした理由から、スカンク・リバー・モンスターは、架空記事にすぎなかったと考えるのが自然なのだ。

 一説によると、この話の創作者は、南北戦争で北軍の外科医をしていたジョセフ・R・ゴレルによるものであると言われている。彼がなぜこのような創作をしたかは分かっていないが、彼は南北戦争後にアイオワ州ニュートンに居住し、そこで生涯を終えたという。

 イエロージャーナリズムは、人がほとんど訪れることのない地域に観光客を呼び込むために、架空の記事が書かれることも多かったと言われている。ゴレルは州の上院議員も務め、人々から厚く支持されていたという。彼のささやかな地元愛が、この伝説的怪物の物語を生み出したのかもしれない。

【参考記事】
https://iagenweb.org/boards/jasper/documents/index.cgi?read=519732