【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#601】一本足の妖怪や怪物というと、からかさ小僧や一本だたらといったものを思い浮かべるだろう。2000年代には、和歌山県田辺市や千葉県の船橋市で、一本足の何者かが飛び跳ねていったように見える足跡が田畑で発見されたことも話題となった。

 一本足の存在は伝承の存在として語られる。しかしながら、先の和歌山や千葉のように、現実で存在しているかのような痕跡が報告されるというのは非常に興味深いことでもある。そしてなんと、そのような生物が目撃され、かつ映像におさめられたという出来事がタイで起こっていたのだ。

 2018年10月上旬、タイのチャンタ・シトゥルクという人物が、フェイスブックに動画をアップした。その動画には、白い服のようなものを着て、黒く長い髪をした子供ほどの大きさの存在が、ルアンナムター郡にあるうっそうと草が茂る道路脇を一本足で跳ねながら移動するという奇妙な存在が映し出されていたのだ。

 この映像は、瞬く間に数百回も再生されることとなり、現地のニュース番組でも取り上げられた。そんな中で「ゴン・ゴイに違いない」という意見がタイ国内で飛び交うようになったのだという。

 ゴン・ゴイとは、タイやラオスに伝わる神話上の生き物であり、子供くらいの背丈で、赤い髪に大きな目、パイプのような細長い口をしており、飛び跳ねる際に「ゴン・ゴイ! ゴン・ゴイ!」と叫びながら移動することから、この名前が付けられたと言われている。

 一番の特徴は、足が一本だけであり、しかも前後逆を向いているということだ。これは江戸時代の類書「和漢三才図会」にも載っているかかとの向きが逆向きとなっている妖怪「山精(さんせい)」と酷似していると言えるだろう。

 また、その長い口を使って人間の足の爪先から血を吸うと言われており、普段は人目に付かず森に生息しているため、野外キャンプでは襲われる危険のある存在という認識もされているそうだ。

 さて、動画を見てみると、声を発しているというわけではないものの、夜間ということと白服で髪の長い、いわゆる日本で最もイメージされやすい女性の幽霊にも似た風貌もあって不気味に見える。

 残念ながら、映像は途切れてしまっており、またその後ゴン・ゴイとおぼしき存在がどのような様子であったのかについては報告がない。

 普通に考えると、やはりイタズラの線が濃厚と言えるだろう。実際、チュラロンコン大学で分子生物学の研究をし、また超常現象についてのご意見番としても知られるジェッサダ・デンドゥアングボリパント教授は「カツラをかぶり白い服を着た人が飛び跳ねているだけ」という結論を下しているという。

 とはいえ、撮影者がグルとなってこの動画を撮ったのか、それともそのようなイタズラに偶然にも遭遇してしまったものなのかについては不明なままだ。果たして、本当にゴン・ゴイをとらえた映像だったのだろうか。真相は、道脇の草むらの中にピョンと隠れてしまったのかもしれない。

【参考動画】
https://www.youtube.com/watch?v=y_Hi9cwYdJA