飲みに飲んだ年末年始。もちろん、初詣先の松尾大社(京都府)でもご祈祷後、ふるまい酒をたらふく飲ませていただいた。以前は朱塗りの大杯になみなみと酒を注ぎ、回し飲みしていたそうだが、コロナ以降は使い捨て容器に少量ずつ入れ、サーブするスタイルに変わった。現在、大杯はディスプレイ用として、日本酒が入った菰樽(こもだる)と一緒に飾られている。

 酒の神様・松尾大社で出されたふるまい酒は、地元・京都の「月桂冠 上撰」。味わいはほのかに甘く、実にキレがいい。甘味や酸味といった五味を形成する味のいずれかが突出していないので、誰もが純粋に「おいしい」と思える味である。一般的な日本酒は3回に分けて米・米麹・水を仕込む三段仕込みだが、この酒は四段仕込みで造られている。これが特有の甘味と深みを出す所以である。銘柄についている「上撰」は、昔でいう一級酒を指す。値段は1・8リットルで1973円(参考小売価格・税別)と物価高騰の今、お財布に優しいところもありがたい。

 ここ数年、クラフトサケと呼ばれる手作り感や希少性をアピールする日本酒ばかり飲んできたが、「月桂冠」のようなナショナルスタンダードを久しぶりに飲んで、改めてその底力を舌で実感。今回は常温で飲んだが、燗酒で飲むと魅力がさらに炸裂しそう。

 ふるまい酒と一緒に出されたアテは甘酸っぱい塩昆布。昆布と酒、双方の旨味が口の中で溶け合い、危険なほど酒が進んでしまう。シンプルながらも、思わずうなるマッチングだった。ちなみに昆布は語呂合わせで、「喜ぶ」「養老昆布」にかけ、祝いと長寿の願いが込められている。

 ふるまい酒の提供は祝日などの関係で延長することもあるが、基本は1月7日まで。今年は既に終わってしまったが、来年はぜひ松尾大社でご祈祷を受け、ふるまい酒をたんと堪能して欲しい。