【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#586】2021年10月、TikTokの「TheWeirdShelf」というアカウントから、一つの動画がアップされた。テネシー州のとある森林地帯を上空のドローンから撮影したというその映像には、突然1本の巨木が揺れ始めるという奇妙な様子が映し出されていた。驚くべきことに、その揺れは単に左右に揺さぶられているという程度のものではなく、まるで幹がしなっているかのような極めて激しいものであった。

 ユーチューブなどの動画サイトでも広まったこの映像は、不可解な「激しく揺れる木」として紹介されるようになっていき、巨人のような何者かによる仕業ではないかとの臆測も飛び交った。

 だが、映像を引き続き見ていると、激しく揺れる木は初めにあった場所から徐々に移動しているようにも見えるのだ。まるで、樹木そのものが生命体のように動きだすというその様は、英国の小説家トールキンの小説「指輪物語」の中に登場する木の精霊「エント」をほうふつとさせる。

 エントは、姿が樹木そのものの精霊種族であり、エントの森と呼ばれる地帯に住み、生い茂る数メートルの針葉樹1本1本がエントとして生きているのだという。後世のファンタジー作品に少なからず影響を与えたエントは、あくまで架空の存在であったはずであるが、あたかもこの映像は、そのエントの実在を捉えたもののようにも思えてくる代物だ。

 東スポUMA図鑑では、以前に「ソクラテア・エクソリザ」という通称「歩くヤシ」を紹介した。そのソクラテア・エクソリザは根を使って1年かけて1メートルほど移動すると言われているが、映像に映る激しく揺れる木はそれをはるかにしのいだ挙動をしている。まさに、巨大な木の精霊エントと呼ぶにふさわしいとも言えるだろう。

 ただ、映像に疑問がないわけではない。そもそもこの動画のオリジナルでは、初めから無音声で公開されているため実際の音源は全く分かっていない。実際は、木を激しく揺らすために重機などが用いられており、その音を知られないように無音声の状態で公開したのではないかと疑問視されるのも無理のないことだ。

 しかし、仮に重機だとしても、このような揺らし方は可能なのか、木が移動するような操作は重機にできるものなのだろうか、といった疑問は残る。

 なお、海外のとあるユーザーがこの画像を拡大再生して検証したところ、巧妙に隠れているせいか木々の陰に重機は確認できないという。しかし、その一方で揺れる木を根元でつかんでいるかのように見える白い人型のシルエットが見えるとの指摘もある。

 ビッグフットのネームバリューもあることから、この動画は「ホワイト・ビッグフット」が木を激しく揺らしているのだと解釈する向きが強いようである。とはいえ、仮にホワイト・ビッグフットの仕業であったとしても、一体何の目的でそこまで激しく揺らしているのか、さらにはそれをどこへ移動させようというのか、それらは今も謎のままである。