スマートフォン(以下、スマホ)はとても便利なアイテムだが、使い方によっては、目に大きな負担を与えている。スマホなどの影響で目の不調が起こるとされる「スマホ老眼」とはいったいどんな症状なのか。眼科医の杉本由佳先生に教えてもらおう。

 ――スマホ老眼とは
 杉本医師(以下、杉本)スマホを見ているときの姿を想像してください。30センチくらいの距離で長時間じっと見続けていませんか。近距離をじっと見続け、休憩もせずにいると目に負担をかけ続けることになり、目の中にある毛様体筋という部分がこり固まります。その結果、ピント調節がうまくできなくなり目の不調を招くことをスマホ老眼といいます。

 ――私たちは、どうやってピントを合わせているんですか

 杉本 ピントを合わせるときには、毛様体筋という筋肉が水晶体と呼ばれるレンズの厚みを調節しています。水晶体に弾力があり、スムーズにレンズの厚みが変わること、そして毛様体筋の力がきちんと働き、水晶体を膨らませたり縮めたりできることで、すぐにピントが合うわけです。

 ――スマホ老眼では、具体的にどういう自覚症状があるのでしょうか

 杉本 近いところが見づらくなったり、遠くもぼやけていたりという見えづらさを感じるでしょう。そして、目がゴロゴロするとか、目のかすみ、目の痛み、目が重たいという症状も出てくると思います。近いところを集中して見ているはずなので、ドライアイの症状も出やすいでしょう。集中して見ているときは、まばたきが3分の1くらいに減りますからね。

 ――スマホ老眼を放置したらどうなりますか

 杉本 先ほどお伝えした諸症状の悪化もあり得ますし、頭痛などが出てくる人もいるでしょう。もっと悪くなると、眠れなくなったり、吐き気がしたり、食欲がなくなったりと、どんどん生活に支障が出てきかねません。

 ――「老眼」という言葉が入っていますが、治らないものなのでしょうか

 杉本 それは違います。スマホ老眼は目を酷使する生活を改めれば治る一過性のものです。逆に、老眼は加齢が影響しているので治りません。水晶体の弾力性が弱まって硬くなったり、毛様体筋が衰えて水晶体を膨らませたり縮めたりする機能が落ちることで、ピント調節機能が低下して、近くが見えづらくなるのが老眼です。このピント調節がうまくできない状態が老眼に似ているのでスマホ老眼という名前がついていますが、メカニズムは全く違います。