30年後には花粉の発生量半減を目指すという花粉症対策の方針が政府より示された。来春の飛散量も例年以上だといわれており、季節外れの注目度となっているが、実は花粉症対策の中には、今から始めるべきものもある。呼吸器内科医でアレルギー専門医の資格を持つ佐藤留美先生に、2回に分けて治療法について詳しく教えてもらおう。
――改めて花粉症はどんな病気なのでしょうか
佐藤医師(以下、佐藤)花粉を原因として引き起こされるアレルギー反応です。花粉に接触するたびに、リンパ球でIgE抗体が作られ、少しずつ体内に蓄積されます。このIgEがあるレベルに達して、皮膚や粘膜などにある肥満細胞と結合することで、ヒスタミンという炎症を起こす物質が放出され、目や鼻などに症状が出ます。
――主な治療法が4つあると聞きました。どんな治療法ですか
佐藤 薬物治療、レーザー治療、抗IgE抗体療法、舌下免疫療法です。薬物治療やレーザー治療は対症療法で、くしゃみや鼻水といった症状を抑える治療法。舌下免疫療法はアレルギー反応をそもそも起こさせない状態に持っていくため、根本にアプローチする治療ですね。抗IgE抗体療法はIgEが肥満細胞に結合しないようにブロックする、病気の流れを止めてしまう治療法です。
――花粉シーズンが始まってからだと対症療法に頼るしかないでしょうが、舌下免疫療法は今のうちから始めることで春に症状が出にくくなると聞きました
佐藤 そうですね。毎日眠れないほどの鼻づまりだったという人が、快適に過ごせるようになることもあります。ただ、おすすめではありますが、舌下免疫療法で治療ができる花粉症はスギ花粉だけなんです。
――花粉症の原因物質全部に適応だと思っていました!
佐藤 残念ながら、スギだけです。ただ、“スギ花粉(アレルギー)だけを持っている人しか治療ができない”というわけではありません。そのため、スギとヒノキの両方をお持ちの方であれば、スギ花粉だけでも舌下免疫療法で治療することで、生活の質がぐんっとアップするということはあり得ます。
――重症ではないと受けられない治療法はありますか
佐藤 基本的に成人であれば症状の重症度に関係なく、どの治療法も検討していただけますよ。ただ、4種類それぞれ効果、治療の方法、リスク、期間、金銭的な負担など違いがあります。そのため、自分の症状のレベルや既往歴、服用中の薬との飲み合わせ、生活のリズムや金銭的な余裕などを踏まえ、ベストな治療法を選択することが、快適に過ごすための第一歩だと思います。
☆さとう・るみ 久留米大学医学部卒業。感染症学の研究で医学博士号を取得。内科・呼吸器・感染症・アレルギーの専門医および指導医。花粉症やぜんそくなどアレルギー疾患の診療経験が豊富で、様々なメディアにて発信している。現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。












