歴史的快挙だ。大相撲春場所千秋楽(24日、大阪府立体育会館)、新入幕の尊富士(24=伊勢ヶ浜)が幕内豪ノ山(25=武隈)を押し倒して13勝2敗で初優勝。1914年夏場所の両国以来、110ぶりとなる新入幕Vを果たした。
23日の14日目、幕内朝乃山(30=高砂)との取組で右足首を負傷。救急車で搬送された。この日は痛みどめの注射を打ち、患部をテーピングで固定。勝負にかける執念を見せた。
尊富士は支度部屋へ引き揚げると「気力だけで取りました。もう、やるしかないと思いました」と声を震わせた。前日は歩くこともできず「正直、無理だと思った」。それでも、この日の朝には強行出場を決断。「人の勝ち負けを待っている場合じゃない。これまで積み重ねてきたものを台なしにしたくなかった。別に、この先終わってもいい。過去は変えられない。ここでやめたら、一生悔いが残る」と胸中を明かした。
師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)からは「やめておけ」と休場を勧められても、迷いはなかった。尊富士が出場を直訴すると、最後は師匠も「反対しない。お前がやりたいのなら、やるしかない。出ると決めたなら、しっかりやれ」と背中を押してくれた。
兄弟子の横綱照ノ富士から「お前ならできる」と声をかけられたことも力になった。「横綱の背中を見て育った。横綱も苦労していた。このケガで土俵に上がらなかったら男じゃない」と覚悟を決めた。
敢闘賞、技能賞、殊勲賞の三賞総ナメは2000年の琴光喜以来24年ぶり。初土俵から所要10場所で優勝を果たし、最速記録も塗り替えた。ただ、尊富士は今回限りの〝一発屋〟で終わるつもりはない。「これからが大事。しっかりケガをしない体をつくらないといけない」と表情を引き締めた。













