日本サッカー協会(JFA)が22日、当初は平壌開催だった26日の北中米W杯アジア2次予選の日本―北朝鮮戦が中止になったことを発表した。森保ジャパンは21日の北朝鮮戦(国立)で1―0と快勝したが、北朝鮮側の意向で平壌開催が消滅。代替地を模索したが結局中止となり、チームはこの日の練習後に解散した。衝撃のドタキャン劇は、北朝鮮が今夏のパリ五輪をボイコットする布石との観測も出ている。

 北朝鮮とのアウェー戦を巡っては、21日に大きく事態が動いた。

 森保ジャパンの勝利後に、JFAの田嶋幸三会長が北朝鮮側の意向により平壌開催が中止になったことを明らかにした。理由は、日本で報告数が増えている劇症型溶血性レンサ球菌感染症を警戒した防疫措置とみられている。

 一夜明けたこの日、森保ジャパンは当初調整地としていた中国へ移動する予定だったがキャンセルし、千葉県内で練習を実施。DF谷口彰悟(アルラヤン)が「国際試合でこういう事態になることは稀なことだと思う」と話すなど選手は困惑しながら調整した。

ハイ、解散!試合に向けて練習していた日本代表
ハイ、解散!試合に向けて練習していた日本代表

 そして練習後、アジアサッカー連盟(AFC)からの通達を受けて、JFAが26日の試合中止を発表。チームは解散し、日本代表の森保一監督は「昨日(21日)の試合において気になった点や改善点を修正する機会がなくなったことと、次の試合でより多くの選手を起用できなくなったことは残念に思います」とコメントした。

 中止となった試合の取り扱いについては、国際サッカー連盟(FIFA)の担当委員会が決定する見込み。9月から始まる最終予選までに国際Aマッチデー期間で開催することは困難で、没収試合となる可能性が高い。その場合は規約により日本の3―0での不戦勝となり、最終予選進出が決まる状況だ。

 まさに前代未聞のドタバタ劇となったが、今回の騒動は北朝鮮のスポーツ界における大きな動きの〝予兆〟となるかもしれない。

 五輪やW杯など国際大会の運営に携わってきた関係者は「北朝鮮はW杯予選の平壌開催に並々ならぬ意欲を見せていたのに、こういう形で取りやめた。批判を覚悟で方針を変えたのは、国家としての大きな動きがあるのではないか」と指摘。そして「本当に防疫上の理由なのか、それとも政治的な理由なのかは定かではないが、タイミングを考慮すると、パリ五輪をボイコットすることも考えられるのでは」と今後を予測した。

 北朝鮮は、2021年夏の東京五輪を新型コロナ禍を理由に不参加。22年2月の北京五輪は新型コロナに加えて米国の「策動」と政治的理由も付してボイコットした。

 その後、昨秋の杭州アジア大会でスポーツの国際舞台に復帰。だが今回、国の威信をかけていたW杯予選の平壌開催を自らドタキャンしたことは、国際スポーツとの関わり方を再び転換させる可能性があるというわけだ。

 複合的な要因がある中で、防疫もその一つ。五輪が開催されるパリでは、トコジラミが大量発生。いまや世界各地に被害が拡大している。新型コロナ禍でも金正恩総書記は防疫に神経を尖らせており、五輪参加を消極的にさせることもありえる。さらに、ロシアや中国との関係から何らかの政治的な思惑が絡んでいてもおかしくない。

 北朝鮮によるドタキャン騒動は根が深そうだ。