110年ぶりの大快挙はなるか。大相撲春場所8日目(17日、大阪府立体育会館)、新入幕の尊富士(24=伊勢ヶ浜)が幕内竜電(33=高田川)を押し出して無傷の8連勝。1場所15日制以降で、新入幕力士が中日を終えて単独トップに立つのは初めての快進撃だ。そうした中、入門前の恩師が取材に応じ、尊富士が少年時代から〝努力の鬼〟だったことを明かした。

 尊富士の勢いが止まらない。三役経験もある竜電に完勝した取組後は「自分の相撲が取れた。勝ち越しても気持ちは変わらない。15日間、しっかり土俵に上がることが目標なので」と気持ちを引き締めた。

 1月の初場所で十両優勝を果たし、歴代最速に並ぶ初土俵から所要9場所で新入幕を果たした(幕下付け出しを除く)。新入幕でストレート給金は、2011年5月技量審査場所の魁聖以来、13年ぶり。1場所15日制以降、新入幕力士が中日で単独トップに立つのは初めてと記録ずくめの快進撃を続けている。

 青森県出身の尊富士は小学5年時から5年間、つがる市の「つがる旭富士ジュニアクラブ」で越後谷清彦総監督(61)の指導を受けた。その恩師は「勝ち越すとは思っていたけど、うれしい。今日も勝ったので2桁(勝利)はいける」と教え子の大活躍に目を細めるばかり。少年時代の教え子については「最初から強いわけではなかった。腕立て、股割りができなくて体が硬かったので基礎を教えた。厳しく指導したし、本人もよく努力した」と振り返る。

 恩師には、今でも強く印象に残っている姿があるという。「『四股を200回踏め』と指示すれば、自分から3、400回踏んでいた。『腕立てを300回やりなさい』と言えば、500回ぐらいやっていた。チームメートがへばっていても、彼だけはもっと努力していた」。入門後のスピード出世にもつながる〝努力の鬼〟の横顔を明かした。

 さらに、越後谷氏は「頑張って大関になってほしい。みんなに応援される大関になれば、必然的に横綱になる」と教え子の将来にも大きな期待を寄せた。その尊富士が目標にする力士は、兄弟子で鳥取城北高の先輩でもある横綱照ノ富士(32)だ。「次の場所は横綱と一緒に土俵入りしたい。まだ大銀杏は結えないけど(笑い)」と目を輝かせた。

 新入幕Vとなれば、1914年5月場所の両国以来110年ぶりの大快挙となる。怖いもの知らずの尊富士が〝荒れる春場所〟の主役に躍り出た。