【Buzzの本懐】自動車保険事業で知られるチューリッヒ保険会社のユーチューブチャンネル「Green Music」をご存じだろうか。自然を描くアニメとチル・ミュージックが話題を呼び、16万人超の登録者を誇るチャンネルは、環境保全への貢献が目的で始まったという。今回は日本における代表者の西浦正親氏、チャンネルを担当する石坂智氏(制作担当)、佐藤司氏(進行管理)の3人に、真意を直撃した。

 ――「Green Music」はそもそも環境保全の活動の一環であるということですが

 西浦正親氏(以下、西浦)元々グループとしても、環境の面で世界で最も影響力があり、社会的な責任を果たせる会社の1つになるという目標がありまして。その目標の下で気候変動に対する様々な取り組みを行っているという形になります。「Green Music」もその中の取組みということです。

 ――では他により直接的な保全活動もされているのですか?

 西浦 過去には紙を使わずにネット上で保険を契約していただいた件数に応じて、環境保全団体に寄付をするという「〝WeCare〟プロジェクト」を実施しました。現在は「チューリッヒの森」プロジェクトと題して、長崎県の西海市や神奈川県で森林整備の活動を行っています。

 ――本社が東京にありながら、なぜ長崎県の森を?

 西浦 当社は長崎市にも拠点があるんですよ。そこで社員もボランティアに参加して、会社の中から行動を起こせる環境を作りたかったんです。東京、大阪にも拠点はありますから、まずは3か所で「森」を整えるのが当面の目標ですね。

「チューリッヒの森」プロジェクトの様子
「チューリッヒの森」プロジェクトの様子

 ――やはり活動の根幹には〝自動車〟保険を扱う事業者としての責任感があるのですか?

 西浦 そこは本当に強く感じています。もちろん一企業としてCSR活動やボランティアには取り組んでいますが、本質的に気候変動に立ち向かわなければならないな、と。残念ながら今の自動車は二酸化炭素を排出してしまいます。ですから、ご契約者さまがご自身の運転にかかるCO2排出量を可視化し、それをオフセット(相殺)するために相当額のクレジットを購入できる、カーボンニュートラル自動車保険という任意参加のプログラムも始めました。

チューリッヒ日本支社代表・西浦正親氏
チューリッヒ日本支社代表・西浦正親氏

 ――その中で「Green Music」の取り組みは異質に見えます

 西浦 前提として、気候変動に対しては一人ひとりの方が行動することで、大きな成果が生まれるのではないかという思いがありまして。ただ文章で「気候変動は喫緊の課題ですよ」と発信したところで、多くの方に〝自分事〟として受け入れていただくのは難しいのかなとも感じていました。そのため少しでもハードルを下げて、環境に興味を持っていただく入り口を作ろうということで、2021年にプロジェクトを発足させました。

 ――発想は変わらずに、発信形態が変わった、と

 西浦 そうですね。最終的には日本の美しい風景をループアニーションにしたものと、音楽を組み合わせた「BGV(バックグラウンドビデオ)」を展開しようということになりました。まずは目的意識を前面に出さずに、音楽を楽しんでいただくことを軸に展開していたのですが、多くの方に視聴していただくようになってからは、我々の取り組みについてもお伝えするようにしています。当初は「チューリッヒのコンテンツ」と気付いていなかったという方も多かったかもしれません。

 ――〝入り口〟としての機能を徹底していたのですね

 西浦 環境という文脈なしに好きになっていただいて、その上で「描かれている自然を残していきたい」と、自発的に感じていただきたいということではありましたね。

 ――環境への意識は、〝外資系企業〟であることも大きい?

 西浦 確かに国内外での意識の差は感じます。欧米だと「よりサステナブルな企業の商品を買う」といった志向も強いですから。企業間でも環境対策をしていないと取引ができないこともありますし、その点で違いは大きいですね。紹介したカーボンニュートラル自動車保険も、取り組みは評価していただける一方で、実際の利用率となるとまだ高いとは言えませんので…。ただ日本でも10代、20代の方は環境意識が高い印象がありますね。我々の世代よりも、より切実な問題として認識されているのでしょう。

 ――ありがとうございます。それでは改めてチャンネルの〝全体像〟について教えてください。

 佐藤司氏(進行管理=以下、佐藤)それでは私から…。先ほど説明があったように、実在する日本の風景をアニメ化し、そこに音楽を乗せていくというのが基本的なコンテンツです。以前はアーティストの方をお呼びして、自然の中で弾き語りをしていただくというコンテンツも展開していましたが、作業用動画に対する需要が根強いので…。やはり〝BGV〟がメインということになりました。

初期の動画サムネイル
初期の動画サムネイル

 ――事前に拝見しましたが、200本以上動画がありますね。

 佐藤 派生する形で人気作品やテーマをミックスして長編の動画を作ったり、他にも24時間音楽を楽しめるライブ配信を3本同時並行で流したりはしています。それから昨年6月からの新しい動きとして、「にじさんじ」に所属するVTuberの方とのコラボも行っていますね。

人気VTuber・町田ちまとのコラボも話題(ⒸANYCOLOR, Inc.)
人気VTuber・町田ちまとのコラボも話題(ⒸANYCOLOR, Inc.)

 ――そもそも「音楽チャンネル」という発想はどなたが発案されたのですか?

 西浦 ユーチューブで我々の〝人となり〟を理解してもらいたいという思いはあったので、一緒に企画を考えていただいている企業の方と協議を重ねたんです。いろいろな活動方針を提示していただいた上で、選んだテーマが「音楽」だったということになりますね。他にもオリジナルキャラクターを用いてPRするという選択肢もあったのですが、チューリッヒとしては音楽に賭けてみようということになりました。

 ――メインの視聴者はどのような方ですか?

 佐藤 区分としては34歳以下の方が7割を占めているので、若い方が主体になっていることは確かです。ユーチューブは一般的には年齢の高い方も視聴されているプラットフォームですが、こと「Green Music」に関しては継続視聴時間、視聴回数ともに若い方が多い印象です。これにはVTuberコラボも影響しているのかなと感じます。

チャンネルの概要を説明する佐藤司氏
チャンネルの概要を説明する佐藤司氏

 ――昨年8月に登録者数が10万人を突破されましたが、今後も数字的な目標は追いかけていく?

 佐藤 今年の6月頃に20万人に到達することを目指して進んでいます。やはり「20万人」という数字があると、メディアとしての一定の価値が生まれるとも感じますので…。それ以降は獲得してきた視聴者の方々に「チューリッヒが運営していること」「気候変動への取り組みのきっかけであること」の認知を広めていきたいと思っています。

チャンネルを展開しているのがチューリッヒ保険会社だと知って驚く人も
チャンネルを展開しているのがチューリッヒ保険会社だと知って驚く人も

 ――鮮やかな自然が描かれていますが、ロケ地はどのように選択を?

 石坂智氏(制作担当=以下、石坂)当初は楽曲を担当されるアーティストの方が、ゆかりのある地域の風景を選んでいたんです。

制作担当の石坂智氏
制作担当の石坂智氏

 佐藤 最近は視聴者の方から「ここを取り上げてほしい」といったコメントをいただくこともあるので、そういった声を基に場所を選定することもあるのですが…。どうしても沖縄と北海道が多くなってしまうので、まだ扱っていない場所を運営側から選ぶこともありますね。

 石坂 現在はオリジナルの動画が80本程ありますが、まだ紹介していない都道府県も3、4か所になっていまして。

 佐藤 20万人を達成する頃には〝全国制覇〟出来るのかなと思っています。

(後編ではアニメーション制作の裏側や、新たな試みである人気VTuberとのコラボについても聞きました)

【Green Music produced by Zurich】チューリッヒ保険会社が展開する、チル・ミュージックと日本の自然豊かな風景を描くアニメーションを組み合わせた動画が人気のユーチューブチャンネル。人気VTuberとのコラボ動画も話題を呼び、登録者数は16万人を突破している。

 HPは【https://www.youtube.com/@greenmusic_zurich】