亡き師の教えを守った。大相撲初場所6日目(19日、東京・両国国技館)、幕内阿炎(29=錣山)が大関豊昇龍(24=立浪)を撃破し、ようやく初日を出した。もろ手突きで大関をのけぞらせると、相手が前に出ようとしたところで引き落としを決めた。

 初日から5連敗を経て、今年の初白星を手にした取組後は「一日一番やっているので。(連敗しても)別に気に病んでない。立ち合いで相手を起こせた。前に出て持っていけるのが理想だけど、横の動きも自分の相撲」とうなずいた。

 冬巡業中の昨年12月17日に師匠の錣山親方(元関脇寺尾)が60歳で死去。同23日の告別式では涙が止まらず、師匠を超えることを胸に誓った。天国から見守る錣山親方に初白星を届けたが、本当に大切なことは別にある。

「師匠は勝ち負けはあまり言わないので。とにかく一生懸命やれという言葉をかけられてきた。あきらめずに元気に相撲を取っていけば、いつも怒られなかった。一生懸命、土俵に上がるのが恩返し。それができているうちは大丈夫」と自らに言い聞かせるように話した。

 師匠の考えを理解しているだけに、初白星でも特別な報告をするつもりはない。阿炎は「勝利を報告? いや、もう見ていると思う。師匠から『相撲に集中しろ』と言われる。『一つぐらいで喜ぶな』と言われそう」と背筋を伸ばした。まだ6日目。師の教えを胸に秘めながら、15日間を戦い抜く。