国内テレビ放送はなくても深夜の日本列島が〝久保劇場〟に熱狂だ。サッカー日本代表は21日(日本時間22日)に北中米W杯アジア2次予選シリア戦(サウジアラビア・ジッダ)に5―0で圧勝し、開幕から2連勝を飾った。MF久保建英(22=レアル・ソシエダード)がW杯予選で自身初ゴールとなる先制弾を含め3得点に絡む大活躍。さらには日本代表戦の国内放送がない異例事態に〝緊急声明〟も発した。

〝至宝〟の強烈な一撃が2次予選最大の難敵シリアを沈めた。0―0で迎えた前半32分、久保は右サイドから中央へカットインしながらボールを受けると、ペナルティーエリア手前から左足を一閃。弾丸シュートをゴール右隅に突き刺し、日本に待望の先制点をもたらした。久保にとっては記念すべきW杯予選初ゴールとなった。

 ここから久保が試合を支配した。2―0で迎えた前半40分、右サイドでMF伊東純也(スタッド・ランス)に針の穴を通すような絶妙スルーパス。相手守備陣を一気に突破した伊東がゴール前へクロスを上げて、FW上田綺世(フェイエノールト)がゴール。久保が試合を決定付ける3点目を演出した。

 まだまだ〝久保劇場〟は終わらない。後半立ち上がりに得たペナルティーエリア手前のFKで、久保はキッカーの位置に菅原とともに立つと何やら指示。そして最初に動いた久保が打つと見せかけてボールを壁の横へ流すと、後から走りだした菅原が右足を思いきり振り抜き、見事にゴールネットを揺らした。

 森保ジャパンでは長らくFKやCKなどセットプレーの精度の低さが懸念されていたが、久保が〝デザイン〟した芸術的なトリックプレーでFK問題を払しょくするゴールを導いた。久保は計3得点に絡む大活躍でピッチに〝王様〟として君臨した。

 久保は先制弾について「打たないといけないと思ったので入ってよかった。一発で仕留め切れたのは成長していると思う」と自画自賛。トリックFKにも「相手も僕が蹴ると思っていたので、それがいい布石になった。きれいなゴールだった」と胸を張った。

 さらに久保は、大きな波紋を呼んだシリア戦の放送問題にも切り込んだ。この試合はシリア側が高額な放映権料を吹っ掛けてきた事情もあり、国内の放送や配信が一切ない異例の事態となった。

 久保は「いくら日本で試合を中継したいからといって相手の要求を全部飲むわけにはいかないと思うので。お互いの国対国の〝優しさ〟みたいなものをもっと出してくれたら…。日本のみんなも試合を見ることができてハッピーだったのかなと個人的には思う」と交渉ごとの難しさを指摘。続けて「僕のゴールを見てほしいというより、日本の試合、代表の試合は、当たり前に地上波でやってほしいなという思いはある」とできるだけ多くのファンが視聴できる環境の実現を求めた。

 注目の一戦で至宝が特大の存在感を見せつけた。