【取材の裏側 現場ノート】4年に一度の〝アジア版五輪〟は想定外のことが起こる――。杭州アジア大会サッカー男子準々決勝(10月1日)の日本対北朝鮮で、北朝鮮選手が日本のスタッフからドリンクを強奪し、イエローカードを受けた場面を見ていてそう思った。
過去にアジア大会を取材した中で印象深い出来事が、2010年広州アジア大会(中国)を視察に訪れたA代表のアルベルト・ザッケローニ監督(当時)に対する〝VIP席拒否騒動〟だ。
大会前に発生した尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の影響で、反日感情が高まっていた。U―21日本代表が臨んだ初戦の中国戦は、武装警察が所狭しと配置される超厳戒態勢。日本人サポーター用のチケットも数が限られ、地元サポーターと接触せぬよう試合前に近くのビルに集まり、中国警察が用意したバスで会場入りすることになった。
若い世代の視察に訪れたザッケローニ監督に対しては、驚きの対応がなされた。他国の代表監督が訪れれば、メインスタンドのVIP席が準備されるもの。しかし、大会側が直前になって「中国人にしか出せない」と言い出し拒否するありえない仕打ちに出た。日本協会関係者は奔走し、一般席のチケット2枚をなんとか用意。ザッケローニ監督は文句も言わず、通訳とともに日本人サポーター用バスに同乗し、会場入りした。バスの窓越しに見えた同監督のどこか不安そうな顔は今も忘れない。
最終的にキックオフ直前に臨時IDカードを入手し、ザッケローニ監督はVIP席に近い安全な席で観戦することができた。あらゆる面で完全アウェーの中、中国を下した日本は快進撃を続け、見事に金メダルを獲得した。
五輪以上にハプニングが起きやすく、国と国の意地がぶつかり合うアジア大会。26年名古屋大会も注目していきたい。











