立憲民主党の柚木道義衆院議員は15日、衆院文部科学委員会で審議中の「国立大学法人法の一部を改正する法律案」採決が見送られたことに言及した。

 政府は国立大学法人法の一部を改正する法律案を10月31日に閣議決定している。その中身は事業規模が大きい国立大学法人に「運営方針会議」の設置などを義務づけるというものだ。「運営方針会議」は学長のほか3人以上の委員で構成され、中期計画や予算を決定。その内容に基づいて運営が行われていない場合は学長に改善を求めることができるとしている

 また改正案には東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し新大学として「東京科学大学」となることも盛り込まれている。

東京大学の安田講堂
東京大学の安田講堂

 同委員会の終了後、国会内で取材に応じた柚木氏は「今日の採決は見送られました。金曜日(17日)に討論、採決、付帯決議ということになりました。2日間の時間が生まれ、われわれとしてはよかった。参議院での深堀の質疑に資する形にもなった。金曜日に質疑は行われないが、付帯決議等では大学の自治・研究に介入しうる文部科学大臣が、運営方針会議の委員の人選、事実上の任命拒否権がありますから、そういうところで介入しうる部分についての懸念を減らすための質疑のやり取りが今日あった。付帯決議ではそこを補強して、参議院で深堀をしていただけるような時間的な余裕が生まれた」と説明した。

 今日、与党が採決を見送った背景についてはこう指摘した。

「(与野党)筆頭間はガチンコで協議していた。与党が見送りをされたというのは、感想として昨日(14日)、岸田総理が〝給与アップ法案〟を成立させて非常に世論から批判を受けた。今日、もし強行採決して国民に報道されれば、学術会議問題であれだけ言論の自由に圧力をかけて『また、こんなことをやってんのか』という姿を国民に知られることは回避したかったじゃないのかと正直思いました。大学の研究や自治にもこのままいけばいい影響を及ぼさないことまで現場の声を聞かずにやるということであれば、今日仮に(採決を)やるのであれば〝聞く力ゼロ〟ではないかということを厳しく正さないといけないと思っていた」と柚木氏は語った。