サプリの販売方法では知名度のあるタレントが推奨して「初回半額」などの大幅割引をするような例が多い。そこにはサプリ特有の事情があると専門家は言う。

【とにかく一度使ってもらう】

 サプリの広告や宣伝で多用されるのが、タレントの推奨や「愛用者の感想」などである。タレントの知名度や信頼性を利用して「これを愛用しています」と語ってもらう。また実際に愛用している人に「楽になりました」とか「いつもすっきりです」などと言ってもらう。

「私にも効果があるのでは」と思う人もいることだろう。だが、「誰かに効果があったとしても個人差があり、体質も違えば体力、免疫力、代謝力などさまざまな条件が異なる別人に同じような効果があるわけではありません」と注意を促すのは元富山赤十字病院薬剤部長・薬剤師の山田勇氏だ。

 また、サプリに特徴的なのは「初回は半額」などという販売方法が多いことである。時には初回無料などということもある。サプリ以外の商品では、そこまで大幅値引するキャンペーンはほとんどない。1回使ってみてもらって効果があることを実感してもらおうという手法だが、それがサプリに多いのはプラセボ効果が関係するそうだ。

 プラセボ効果は偽薬効果とも言い、薬でなくても薬のような効果があることである。

【3割の人が「効いた」と思い込む】

「開発中の薬の効果をチェックするためには、その薬を与える患者グループと、それに形状は同じで中身は砂糖などの偽薬を与える患者グループとで効果を比較します。この時、偽薬にも3割を超える患者に効果が現れる。これがプラセボ効果です」

 医薬品では新薬として認められる際にプラセボ効果が考慮され、偽薬と比較して新薬の効果が上回っていなければ認められないのだが、プラセボ効果により、薬効がない偽薬でも「効いた気がする」人が3人に1人程度はいるわけだ。だから、さほど効果がないサプリでも一度飲んでもらうとその3割くらいは「効いた」と思い込む人が出てくることになる。

 さらに、高価であればあるほど思い込みは強くなり、プラセボ効果は高まることをアメリカの行動経済学者が証明して、「イグ・ノーベル賞」を受賞している。また広告や宣伝がたくさんされているほど、また著名人が推奨するほどプラセボ効果は高まる。日本人は欧米人よりもプラセボ効果が高いという実験結果もあるそうだ。

 それ以外にも、人間は自然治癒力を持っている。身体の具合が悪いところを自分で自然に治す力である。こうしたプラセボ効果や自然治癒力をサプリの力と思い込んでくれる人がかなりの割合で存在することが初回半額の大きな理由になっている。

 過剰な健康志向や健康への強迫観念が存在するところに食料の生産、流通に対する漠然とした不安があることが、サプリの効果への過大評価を生んでいるとの指摘もある。

「高額な価格設定で、初回半額とか送料無料などで一度使用させ、中断すると体調が悪化するかもという強迫観念を植え付ける大量の広告宣伝を連続するような手口には注意が必要です」と山田氏は警告する。

 サプリは、あくまで健康維持や疲労回復などのために栄養成分を補給するものだ。効果を期待しすぎてはいけない。