【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#535】各地の動物園で飼育される動物の中で、ヤギは直接エサを与えるなどの触れ合いができる定番の動物として人気がある。日本では、長崎県の五島列島などのシバヤギやトカラ列島・奄美大島のトカラヤギといった家畜のヤギが飼育されているが、今のところ野生のヤギは生息していない。そんなヤギにまつわる奇妙な出来事が、以前に名古屋で起こっていた。

 2004年5月30日の午後7時30分ごろ、愛知県名古屋市緑区の公園内で奇妙な動物が発見された。その動物は、頭に30センチメートルほどの角が生えており、全身が黒と白の毛で覆われていたという。一見するとヤギのようであった。驚いた発見者の女性はすぐさま警察へ通報し、愛知県警緑署員の手によって6月1日までに捕獲、そして保護されることとなった。

 捕獲後に世話にあたっていた警察官の話によると、このヤギは捕獲直後しばらく警戒していた様子であったが、3日目くらいからは喜んで人間からエサをもらうようになり、なついてきたという。警察で保護されている間、このヤギについて各地の動物園や名古屋税関などに多数問い合わせを行ったようだが、もともとどこにいたヤギであるのか、それどころかどういう種類のヤギであるかも分からなかったというのだ。

 後にそのヤギは近くの牧場に預けられた。そしてその牧場でも、とある大学の専門家により鑑定も行われたという。鑑定によると、少なくともヤギであることは確かであることが分かった。ただし種類の特定はできなかったということで、結局正体については分からずじまいであった。

 当時、山口敏太郎も実際に現地へ赴いて取材を行い、ヤギとの対面を果たしている。牧場に預けられたヤギは、あまり歓迎されていない様子であった。このヤギは「ミステリーゴート」と呼ばれているが、この名称は山口敏太郎の命名である。

 このミステリーゴートについて判明したことは、このヤギが沖縄周辺の南方諸島のヤギとヨーロッパに生息するヤギの、両方のDNAを備えていたということである。そのため、2種の混合した個体のヤギではないかという指摘がなされたのだ。

 では、そのような珍しいヤギがどうやって誕生したのか、そもそもなぜ名古屋という都会に突如として現れたのか。かつて和歌山県では、動物園から逃げ出したとされているタイワンザルが野生化し、ニホンザルとの混血が多く発生したことで問題となったこともあるが、それとはどうも事情が異なっているようである。

 これについては推測の域を出ないが、一説には公的機関以外で特殊な動物を作り出すことのできる環境にいる者によって、あるいは何らかの組織が必要に迫られて作り出された動物なのではないかとも言われている。また、解釈の仕方によっては、そのような掛け合わせの生物をつくり、都市へ遺棄するという不可解な行動を起こす人間が潜んでいるという恐怖さえも感じられる。

 ミステリーゴートの発見から20年近く経過する。通常のヤギの寿命は12~15年と言われているが、ミステリーゴートがその後そのように過ごしていたかについてはこれまで耳にしていない。知っている人がいたらぜひともお知らせ願いたい。