藤井聡太七冠(21)と永瀬拓矢王座(31)が対決する第71期王座戦(日本経済新聞社主催)5番勝負第3局が27日、愛知県名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われ、先手の藤井七冠が勝ち、シリーズ対戦成績を2勝1敗とした。
第1局、第2局は「角換わり」だったが、第3局は最序盤に永瀬王座の意表を突く14手目「9五歩」の仕掛けから始まった。この手から始まる一連の手順は、序盤の定石から外れており、前例のない展開に突入した。
将棋は終盤に近づくほど有効な選択肢が絞られ、考慮すべき分岐が少なくなるのに対し、本局のように序盤で定石から外れた局面になると、読むべき分岐が多すぎて、非常に難解となる。
永瀬王座は序盤からあえて定石を外れる手を指すことにより、自身はAI研究済みでありながら藤井七冠にとっては未知の局面へと誘い込んだとみられる。
互いに長考を重ねる中で、序盤の「9五歩」が、中盤36手目の「9六歩」に絶妙につながり、徐々に永瀬王座のリードが広がっていった。
しかし終盤戦、永瀬王座有利を示すAI評価値が90%を超えた値で推移し、誰もが永瀬王座の勝ちを疑わない局面でドラマが起きた。あとは藤井七冠の玉をどう追い詰めていくかという状況で放った66手目の「4一飛打」。これが痛恨の悪手となり一気に形勢が藤井七冠に傾いた。
藤井七冠はこのミスを確実にとがめ、81手で永瀬王座が投了した。永瀬王座の仕掛けが成功し、藤井七冠を圧倒した将棋だったが、たった一度の緩手(かんしゅ)が全てをひっくり返してしまった。
これで藤井七冠は全冠制覇に王手。防衛5連覇と永世位の「名誉王座」獲得を狙う永瀬王座は後がなくなった。第4局は10月11日、京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で行われる。













