「神武以来(じんむこのかた)の天才」と称され、〝ひふみん〟の愛称で親しまれた将棋棋士の加藤一二三(かとう・ひふみ)九段が22日、肺炎のため死去した。86歳だった。将棋の現役最高齢など数々の記録を持つ一方、タレントとしても活躍。孫世代アイドルとも「若い世代に将棋を知ってほしい」と積極的に絡み、〝ひふみん呼び〟にも笑顔を見せていた。

 この日、所属するワタナベエンターテインメントは「弊社所属 加藤一二三(かとう ひふみ)は、令和8年1月22日(木)午前3時15分、都内病院にて肺炎のため86歳にて永眠いたしました」と発表した。

 加藤さんは1954年に当時、史上最年少の14歳7か月でプロ棋士としてデビュー。「神武以来の天才」と言われ、名人などタイトル8期を獲得。最高齢勝利、現役勤続年数、通算対局数など多くの記録を持つ。

 晩年は〝ひふみん〟の愛称で親しまれ、2017年に現役引退後はバラエティー番組などに出演するなどタレントとしても活躍。22年には将棋の認知度を高めることに貢献したことが評価され、「文化功労者」に選出された。

 加藤さんといえば、16年に当時、史上最年少14歳2か月で四段になった藤井聡太六冠のプロデビュー戦の対戦相手となり、〝62歳差対決〟として注目された。

 将棋界に〝藤井聡太フィーバー〟が巻き起こるとともに、棋士の「勝負めし」も注目の的に。もっとも加藤さんは現役時代、出前で勝負めしとして「うな重」を注文し続けていたのは有名な話だ。大食漢で、夕食でチキンカツ定食とカキフライ定食を同時に注文したり、おやつに大量の板チョコを頬張るなど、藤井六冠登場の前から〝勝負めし伝説〟で話題を集めた。

 加藤さんは17年の現役引退前から「若い世代に将棋の魅力を伝えたい!」との意を強くし、孫世代の女性アイドルとも積極的に交流していたという。

 16年11月に開催されたSKE48のコンサートでは、将棋好きメンバーとして知られた鎌田菜月から出演をオファーを受け、快諾。それまで2人に面識はなかったが、ステージ上では「どうぶつしょうぎ対決」や「ダンス対決」など3本勝負を繰り広げた。

SKE鎌田菜月と加藤一二三さん(2016年)
SKE鎌田菜月と加藤一二三さん(2016年)

「一二三先生は『若い子が将棋を好きになってくれるのはうれしい』と笑顔。鎌田をきっかけに将棋を始めたファンがいることを喜んで、鎌田とは友達になっていた。イベントなどで孫ほど年の離れたアイドルと共演したり、バラエティーなどに出演するのも『魅力を広めたい』と〝将棋愛〟を伝えていた」(芸能関係者)

 バラエティーを中心に引っ張りだことなった17年には「新語・流行語大賞」で「ひふみん」がトップテン入りし、同年のNHK紅白歌合戦の審査員を務めた。

「将棋界のレジェンドであることを知らない若い人が多く、『ひふみ~ん!』と人気キャラのように呼びかけられていた。現役時代は厳しい勝負の世界に身を置く立場でもあり、〝ひふみん呼び〟は『かわいらしい感じで、好きじゃなかった』と言っていましたが、引退後はどんどん好きになっていったとか」(同)

 まさに記録にも記憶にも残るレジェンドだった。