初優勝に王手だ。大相撲秋場所14日目(23日、東京・両国国技館)、幕内熱海富士(21=伊勢ヶ浜)が幕内阿炎(29=錣山)を破り11勝目(3敗)。優勝争いの先頭で並んでいた大関貴景勝(27=常盤山)が4敗に後退し、再び単独首位に立った。千秋楽(24日)の本割で元大関の幕内朝乃山(29=高砂)に勝てば優勝が決まる。

 優勝経験がある阿炎の変化に泳がされても慌てない。土俵際で踏みとどまって右四つに組み止めると、そのまま前へ出て力強く寄り切った。全力を出し切った取組直後は右の鼻から出血。それでも、支度部屋に戻ると「勝ってうれしいですね。(相手の変化は)少し頭に入れていた。落ち着いていたなと思います」と笑みがこぼれた。

 この日は師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)がNHKの大相撲中継の解説を務めた。師匠は2連敗中だった弟子に「前に出て自分から攻めろ」とアドバイス。その教え通りの相撲で勝利を届けた熱海富士は「目の前で変な相撲は取れない。勝てて良かったです」とうなずいた。

 21歳で賜杯を抱けば、年6場所制以降の初土俵では4位の年少記録。熱海富士は「(ここまで)長かった。あと一番なので、いい感じで終わりたい。優勝争い? どうですかね。やることは変わらないので。どうなるか分からないけど、自分は(番付が)下だから意識することはない」。

 泣いても笑っても、あと一番。怖いもの知らずの若武者が、自然体で快挙達成に挑む。