レスリングの世界選手権6日目(21日=日本時間22日)、女子53キロ級決勝で、藤波朱理(19=日体大)が個人の中立選手として出場したベラルーシのワネサ・カラジンスカヤ(AIN)をテクニカルスペリオリティー(旧テクニカルフォール)で下し、2年ぶり2度目の金メダルを獲得した。中学2年から続く連勝記録も127に伸ばし、圧倒的な強さを披露した日本の新スター。来年のパリ五輪金メダルはもちろん、その後の“藤波時代”到来にも太鼓判が押された。
前日にパリ五輪代表を決めて迎えた決勝。元世界女王で東京五輪銅メダルの強豪を相手に、序盤からタックルでポイントを重ねた。第1ピリオドを6―0でリードすると、第2ピリオドも圧倒。一度10点差がついたものの、相手のチャレンジが成功し8―0から試合再開。それでもペースは乱れずすぐに2ポイントを奪い試合終了。再び世界の頂点に立った。
父でコーチの俊一氏とマット上でウイニングランで喜びを表現した。「優勝したら2人で(ウイニングランを)したいと思っていた。去年はケガで出られなくて悔しい思いをした。『来年の世界選手権では必ず優勝して、パリ五輪で優勝する』と決めていたので、うれしいです」。大会直前に負傷し欠場せざるを得なかった昨年大会の悔しさを思い出し、声を震わせた。
五輪を含めた世界大会16連覇の吉田沙保里、五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)ら世界でその名をとどろかせた女王たちに続く逸材だ。長い手足を武器に、天性のセンスも手伝って鋭いタックルで攻撃する。防御にも定評があり、怖いものなしだ。「藤波を倒せる選手は当分出てこないのでは。パリ五輪はもちろん、その次(2028年ロサンゼルス五輪)だっていける」(レスリング関係者)と天下が続くとの指摘も上がるほど。日本女子の伝統をつなぐ存在なのは間違いない。
小さいころから大の負けず嫌い。小学生のころ、俊一氏が藤波のスパーリング相手にアドバイスを送ると「朱理がめちゃくちゃ燃えているんです」(同氏)。カードゲームでも負けるとタックルで吹き飛ばしてくるほど。競技にもその性格がプラスに働いた。
目標のパリ五輪金メダルのため、厳しい体調管理を自らに課している。ご飯は毎食グラム単位で量り、栄養バランスも考える。好きなものを好きなだけ食べるのは試合の後だけだ。全ては夢をかなえるため。「この世界選手権でも最高なので五輪でウイニングランができたらどれだけ最高なのかと思う。もうひと回り強くなった藤波朱理を見てもらいたい」。強い19歳が、確実にパリの頂点へ、着実に近づいている。












