【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#532】以前、このUMA図鑑では、遊覧船に衝突して失神してしまい沈んでしまったというセネカ湖の怪物「ネッキー」を紹介した。このセネカ湖は、米国・ニューヨーク州北西部に存在する細長い形状で並んだ湖の列のフィンガー・レイクスの一つであり、その中で最も水深の深い湖の一つに含まれている。そのフィンガー・レイクスの一つにセネカ湖と同様に長く深いカユガ湖があるのだが、実はこの湖にも怪物の存在が伝承されているのだ。

「オールド・グリーニー」と呼ばれる水生生物の伝説は19世紀末にさかのぼる。1897年当時の新聞「イサカ・ジャーナル」には、友人と湖岸をドライブしていた地元民が、大きくて長いヘビのような存在を目撃したというエピソードが紹介されている。また、同紙の記者たちがその生物の出現を恐れて、取材することを断ったというような逸話もある。

 この生物については数年間報告され続け、なんと1929年に同紙によって、カユガ湖に現れた2匹の謎のシーモンスターの存在が報じられたのだ。この生物は体長12~15フィート(約3・7~4・6メートル)と推定されており、同紙ではセネカ湖からやってきたウミヘビの仲間ではないかという可能性が唱えられた。これは当時、セネカ湖とカユガ湖には双方をつなぐ地下水路のようなものがあると考えられていたためなのだが、のちの研究で地下水路の存在は否定されることとなった。すなわち、このオールド・グリーニーはセネカ湖の怪物ネッキーとは異なる存在である可能性が高いのだ。

 カユガ湖の怪物の報告例では、1974年に湖で泳いでいた少年が、巨大なウナギのようなものに襲われ、腕の骨を折るケガをしたというものや、1979年に湖でボートをこいでいた者たちが湖上に浮かぶ流木のようなものを発見し、衝突を避けようと停止すると30~35フィート(約9・1~11メートル)の生物だと気づき、その後ゆっくりと沈んでいったという。

 オールド・グリーニーは「チョウザメの誤認ではないか」「巨大な淡水ウナギがいるのではないか」などさまざまな説が上がっているが、最後の目撃が1979年であるため、いまだに正体は謎に包まれている。だが、2匹同時に目撃された例から見ても、親子のような複数個体で生息していた可能性も十分に考えられる。何より、「それはウナギなどよりももっと恐ろしい存在なのではないか」ともささやかれているというのだ。

 ちなみに、このカユガ湖そしてセネカ湖を含むフィンガー・レイクスのすぐ北側には、UMA「チャンプ」が生息していると言われるシャンプレーン湖もある。これほど水生UMAが密集しているとは、UMAそのものに加えて、この一帯そのものが実に不思議で興味深い地域である。