アミノ酸人気が高まり、健康食品、サプリ、ドリンクなど次々に新商品が登場している。中でも注目されるアミノ酸に関して専門家に尋ねた。 

【人気トップのGABA】

 健康食品を受託加工・製造している企業対象の調査によればアミノ酸は常に人気素材の上位であり、いわゆる機能性表示食品としてロイシン40%配合必須アミノ酸、グロビン由来バリン、グリシン、クレアチン、ヒスチジン、Lセリン、バリルチロシン等々といった成分の商品が多彩に登場している。そして、これらを抑えてアミノ酸の機能性表示食品で最も多く登場しているのがGABA(ギャバ)を成分とするものだ。

「GABAもアミノ酸の一種で、神経伝達物質であるガンマアミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の略です」と解説するのは黒野剛・Dアミノ酸ラボ社長だ。

 タンパク質を構成するアミノ酸は20種類だと前回説明したが、それ以外にタンパク質には含まれず遊離の形で生体内に存在するアミノ酸にGABAやオルニチンなどがある。ちなみにオルニチンは疲労回復や肝機能改善などの作用があるとされる。

 GABAは哺乳類の脳から発見され、高等動物の神経伝達物質として抑制性機能を持っていることが解明された。睡眠調整やリラックスなど脳機能改善効果や高めの血圧を改善する作用なども認められている。そこで、こうした機能を活用した医薬品や食品が開発されるようになったわけだ。例えば「プロフェッショナルボス」(サントリー食品インターナショナル)は、日常の身体活動により筋肉量を維持する機能を表示している。

【Lアミノ酸と鏡映しのDアミノ酸】

 一方、これまであまり知られていなかったが最近注目されるようになったのがDアミノ酸だ。地球上の生物を構成するアミノ酸は、そのほとんどがL体。そのL体と構成要素が同じで結合の仕方が鏡映しの形になっているのがDアミノ酸である。

「長年、生体内にはLアミノ酸のみが存在し、Dアミノ酸はごく限られた生物にしか存在しないと考えられてきました。このためアミノ酸といえば一般にLアミノ酸であり、Dアミノ酸はこれまであまり注目されていませんでしたが、最近の研究ではDアミノ酸が生体内に存在し、様々な生理機能を持つことが明らかとなってきたのです」と黒野社長も言う。

 同社はアミノ酸のうちDアミノ酸とその関連酵素を専門に取り扱うベンチャー企業である。

 研究によりDアミノ酸は代謝機能など生体内の重要な生理機能を担っていることが判明した。例えばDアスパラギン酸というDアミノ酸は脳ホルモンなどの分泌促進、Dグルタミン酸は細胞壁の浸透圧調整の機能がある。Dセリンは精神神経活動の制御、Dリジンは環境適応に重要な役割があると解明された。

 また、発酵食品にはDアミノ酸が豊富に含まれていることもわかっている。しょうゆ、みそ、酢といった調味料、チーズやヨーグルト、漬物等の発酵食品、日本酒、ビール、ワインなどのアルコール飲料などにDアミノ酸が豊富なのは、乳酸菌などの微生物や関連酵素の働きによるとされる。Dアミノ酸の機能を利用した食品もすでに発売されるようになっている。

 いずれにせよアミノ酸の機能を生かした医薬品や食品はこれからも続々と登場するはずだ。