栄養補給や疲労回復に活用されるアミノ酸の人気が高まり、健康食品、サプリ、ドリンクなど次々に新商品が登場している。では、アミノ酸の種類によってどんな違いがあるのか。専門家に尋ねた。

【そもそもアミノ酸とは】

 スポーツ時の栄養補給や疲労回復などに活用されるが、人間が生きていくために最も重要な栄養分であるタンパク質の最小単位がアミノ酸だ。
「ヒトの体は水分が60~70%、タンパク質は15~20%を占めています。水分を除く固形分だけで考えますと、その約半分をタンパク質が占めており、筋肉、骨、皮膚、爪、毛髪などの主成分になっていたり、酵素やホルモン、抗体として身体機能の調整を行ったりしています」

 こう説明してくれたのは黒野剛・Dアミノ酸ラボ社長だ。同社はアミノ酸のうちDアミノ酸を専門に扱うベンチャー企業である。

 アミノ酸は種類ごとに性質、機能が違うという。天然に存在する約500種のアミノ酸のうち生体のタンパク質を構成しているアミノ酸は20種のみだ。例えば成長ホルモンを合成するアルギニン、代謝を促すアスパラギン酸、消化器官の機能を維持するグルタミン酸などがある。

 アミノ酸は結合して、数十個からなる分子はペプチドと呼ばれ、さらに多くが結合するとタンパク質と呼ばれる。どのような並び順でアミノ酸がつながっているかによってタンパク質の特徴や生理的機能が決定される。
 また、アミノ酸は食べ物の味を大きく左右する。甘味、苦味、酸味やうま味等、さまざまな呈味性を示すのがアミノ酸なのだ。アミノ酸の組み合わせによって味が変わり、アミノ酸は食のおいしさのカギを握っている。

【コロナ禍で人気に?】

 特に健康面での効果に注目すると、バリン、ロイシン、イソロイシンなどのアミノ酸は、摂取して適度な運動をすると体の筋肉量が増え、歩行機能が向上する効果が判明している。疲労回復にもよい。長引くコロナ禍での運動不足を解消しようとするとき、こうしたアミノ酸の機能が活用されたとも言われる。

 またグリシンは、就寝前に摂取すると、すみやかに自然な深い眠りに入る効果がある。ヒスチジンというアミノ酸は、疲労感の軽減によい。

 肝機能を助けるアミノ酸がアラニンやグルタミンだ。飲酒前や飲酒後、あるいは翌日に取ると二日酔いの不快感を軽くできる。

 シスチンとテアニンを定期的に取ると免疫細胞の活性を維持できる。これは風邪の予防効果があるとされる。

 セリンというアミノ酸は、神経のダメージ回復に寄与する。このセリンと一緒に、イワシ、サバ、アジなどの青魚に多く含まれる脂肪酸で炎症を抑える効果があるEPA(エイコサペンタエン酸)を摂取すると腰やヒザの痛みが軽減する効果も発見されている。

 なお、アミノ酸の20種類のうち9種類は体内では十分に合成できず、栄養として食物などから摂取する必要がある。これらを必須アミノ酸と呼ぶ。残りの11種類は体内で合成できる。

「食品単体に含まれる必須アミノ酸の比率をアミノ酸スコアと言います。窒素1グラムあたりの必須アミノ酸が基準値と比較してどれだけ含有されているかで示され、その食品の栄養価の評価に用いられます」(黒野社長)

 次回は、最近アミノ酸の中でも最も注目されているGABAの効果を中心に紹介しよう。