最近急激に人気を高めているのが「お酢」である。昔から一般的な米酢を中心に調味料として親しまれてきたが、近年は黒酢、果実酢、飲む酢なども注目を集めるようになっている。なぜ人気なのか、使い方、選び方はどうすればいいのか、専門家に聞いた。
【酢にもいろいろ】
酢といえば「体にいい」とのイメージを持つ人が多い。昔から疲労回復効果があるとされてきた。
疲労は乳酸が体内に蓄積されることでも起こるが、酢の主成分の酢酸やクエン酸が乳酸を分解する働きを円滑にする。また便秘解消、内臓脂肪の減少、血圧低下、食後血糖値の上昇緩和などの効果も判明している。
「薬膳の世界でも酢は疲労回復、消化促進、魚毒の緩和、殺菌などの作用があるとされます。酢は酸味でその収斂(しゅうれん)作用が筋肉の収縮や汗、下痢を止める働きがあるため、夏の暑い時期には酸味を適度に取ることが大事です」と話すのは、薬膳研究家で国際中医薬膳師のユウ・シャーミンさんだ。肝臓が疲れると、酸味が欲しくなるのだという。
ただし、酢にも種類があり、それぞれの特色を知っているとよい。現在では、食酢のほとんどは穀類や果実、野菜などの原料を酢酸発酵させて製造した醸造酢と呼ばれるもので、大きく分けると原料として米、大麦などの穀類を使用した穀物酢、果実を使用した果実酢に分かれる。
果実酢は後で説明するが、穀物酢のうち米酢は精米が主原料だ。また最近人気の黒酢には、玄米や精米度の低い米、大麦を原料として醸造されたものなどがある。
【黒酢を詳しく】
黒酢には大別して2種類がある。一般的な大手メーカーによる大量生産品と、昔ながらの壺造り黒酢である。壺造り黒酢は、各種アミノ酸や食物繊維などの栄養分が凝縮されているとされる。
鹿児島県霧島市福山町が日本最大の黒酢の生産地であり、約200年前の江戸時代後期からの伝統製法に基づいて製造する醸造所が現在でも健在だ。江戸時代、福山町は中国や琉球の産物が行き交う中継地であり、中国の商人が香醋(こうず)を伝えたとされる。このほか、米の生産地として著名な新潟県でも原料にこだわった黒酢ならではの旨味を味わえる玄米黒酢が生産されている。
中国で生まれた黒酢が香醋である。原料には、もち米などが使われている。「中華料理では真っ黒な黒酢を使うのが一般的です。健康効果がある上に料理のコク、うまみも引き出してくれます」(ユウさん)とのこと。よく使われるのは、江蘇省長江流域の鎮江で造られる鎮江香醋や、山西省でトウモロコシを主原料に造られる山西老陳醋だという。一方の大手メーカー製品は、全国のスーパーなどで入手しやすく、比較的安価だ。調味料として、また黒酢飲料として種々の製品が販売されている。
次回は果実酢、飲む酢について、どう選べばいいのか、どんな使い方がいいのかについて探る。












