ピンピンコロリ、つまり健康で長生きして、その後はコロリと死んで誰にも迷惑をかけたくないという願望をかなえるにはどうしたらいいのか。自然を求めて地方移住? それもアリかもしれないが「もっといい方法がある」と専門家は言う。
【地方がいいとは限らない】
ピンピンコロリを願ってストレスの多い都会を離れ移住する人たちもいる。のんびりと過ごせる田舎暮らしが最近は人気になっているようだ。
だが、「地方在住の私の友人は脳出血で倒れて搬送された病院に専門医がいなくて重い後遺症が残りました。田舎に行くほど医療体制が脆弱な日本では高齢者が安心して長生きできるとは限らないのです」と警鐘を鳴らすのはヘルスケア機器の開発ベンチャーであるサルーステック・小川博司社長である。
大切なのは、病気や体調不良が起こる兆候を前もって捉えることだと話す。仮に田舎暮らしで近くに医療機関がなくても早めに対処策を取ることが可能になる。
そのための体調を把握するバイオデータの検出システムなどを開発しているのがサルーステックである。体の異常の予兆をつかむ専門企業とも言える。
例えばイヤホンやヘッドホンを用いた耳からのバイオデータを検出するシステムXanaduを開発している。これは、市販のオーディオ用イヤホンをそのまま用いて音楽を楽しみながら脈波を検出したり、運動時の脈拍数を測ったりできるヘルスケア機器だ。
【予兆をつかむ】
同社は「For Senior,by Senior」をスローガンにしている。年配者が使うものは年配者が自ら開発設計するということだ。
この方針により先に紹介した耳からのバイオデータ検出システムも、簡単にチェックできてQOL(生活のクオリティー)を落とさないように配慮している。音楽を聴きながら人々の健康寿命延長に貢献しようという狙いだ。
検査というと特別な検査機器を設置した病院に行かねばならないことが多い。しかし、特に検査をするということではなく、何かをしながら何らかの体の異常の予兆をつかめるのだ。あるいは運動など体に負荷をかけているときにデータを取って、負荷が過大になることを防ぐこともできる。それによって、仮に異常が起きても後遺症の発生を少なくとどめられる。
そのほか同社では“筋肉 Phone”も開発している。小川社長によれば「PRになってしまいますが、筋肉からの電気信号を読み取ってジムなどでのトレーニングの質的評価や日常生活での筋肉の活動状況をスマホで把握できるデバイスです。スポーツをする方やトレーナーに注目されています」とのこと。
できるだけ長生きするには、適切な食事と運動に配慮し、病気の予兆をつかむように自身で努力して早めに対処するという、いわば当たり前の方法しかないのだ。健康なうちに、起こるかもしれない異変の予兆をつかむことができれば「コロリ」はともかく「ピンピン」は長く続けられる。それが寝たきりにならないための正攻法だろう。












