アフリカのニジェールでクーデターが起きた。日本からは遠い国のように見えるが、この国ではウランが大量に採れる。

 2011年に東京電力福島第1原発事故が起きるまでは日本もニジェールからウランを購入していた。ニジェールが政情不安な状態になり、ウラン鉱山がアルカイダやボコハラムのようなイスラム過激派の手に落ちると、核拡散の観点からも深刻な事態になる。フランスが軍隊を派遣した目的の1つが、ウラン鉱山の管理だった。

 しかし、フランス軍はニジェールの治安維持に失敗した。

<フランスは、旧植民地の国々をできるだけ多く自国の影響圏にとどめようとしたが、戦力は十分ではなかった。2000人から5000人の部隊では、テロとの戦い、現地の武装勢力の訓練、人道的プロジェクトの実施におけるさまざまなミッションの支援など、設定された任務をすべてこなすことはできなかった。フランスのプレゼンス効果は低下しており、地元当局はこれを無視することはできなかった。サヘル(マリ、チャド、ブルキナファソ、モーリタニア、ニジェール)における対テロ作戦「バルハン」は失敗に終わった。大陸におけるフランスの影響力は急速に低下し、フランス領アフリカは崩れ始めた。昨年末、フランス軍が地元当局から厳しく批判され始めたため、フランス政府は対テロ作戦の終了を発表した。「バルハン」作戦に関わった5000人の隊員は大陸からの退去を余儀なくされた>(5日、ロシア紙「イズヴェスチヤ」)

フランスのマクロン大統領(ロイター)
フランスのマクロン大統領(ロイター)

 フランスが急速に弱体化している。その理由は、ウクライナ戦争で米国と共同歩調をとり、国内でエネルギー価格を中心に物価が高騰し、一部国民の不満が暴力的爆発に発展し、内政に大きなエネルギーを割かざるを得なくなったからだ。

 客観的に見て、フランスは軍事的に旧植民地の西アフリカの治安を維持するのに手一杯だった。しかし、ウクライナ戦争に深入りしたことで、西アフリカに十分な力を割けなくなった。この空白を本来ならば米国が埋めるのであるが、現在のバイデン米政権にその余力はない。

 このような事情を踏まえて西アフリカ諸国では、ロシアに対する期待が高まっている。ロシアは以前からGRU(ロシア軍参謀本部諜報総局)や民間軍事会社「ワグネル」などを用いてこの地域に浸透していた。今後、ロシアの西アフリカにおける影響は一層高まる。