薬は水で飲んでも、酒で飲んでも、お腹の中に入ったらいっしょ。この仕事をするまで、そう信じて疑わなかった。しかしカラダは正直なもので、酒で薬、特に風邪薬や痛み止めを飲むと、いつもより眠気がひどくなることがある。幸い電車を乗り過ごしたくらいで済んだが、実際のところ薬と酒の関係について識者に聞いたところ、「酒で薬を飲むなんて、とんでもない」という答えが返ってきた。
大きな理由として、「薬の作用や副作用を増強する恐れがある」からだという。体内に入ったアルコールはもちろん、薬もまた肝臓で代謝される。その際、使われるのが解毒酵素として知られるCYP2E1(チトクロームP450)だ。常人が薬とアルコールを同時に摂取した場合、この酵素を仲良く分け合うのではなく、双方で奪い合う形になってしまうのだという。
例えば通常なら100%のうち、50%で代謝される風邪薬があったとしよう。その風邪薬を酒で飲み、アルコールの代謝に半分持っていかれたとすると、その風邪薬は半分の25%しか代謝されなくなる。結果、残りの75%の成分が血中に入ってしまう。つまり適量より、多くの用量の風邪薬を飲んだのと同じことになるのだ。酒飲みであれば、体感でこの仕組みが理解できるのではないだろうか?
そんなワケで、酒で薬を飲むのはご法度なのだ。ではいつ薬を飲めばいいのかというと、アルコールの影響が完全になくなった翌日ということになる。というか、そもそも服薬するような具合の悪い時に、酒を飲むという行為が本来はNGなのだろう。だがそこは酒飲み。「アルコール消毒」とかこつけて、何としても酒を飲みたい。体調にもよると思うが、風邪の引き始めであれば、風邪薬代わりに熱燗を飲んでとっとと寝るという手もある。ただし、これはあくまでも自己責任。風邪をはじめ具合が悪い時は休肝日と割り切り、薬の代謝のためにも解毒酵素を譲ってあげるのが賢明のようだ。












