酒がほどよく回ると出てくるのが「ここだけの話」。でも「人の口には戸が立てられない」と昔から言うように、一度口をついて出た話はあっという間に広がるのが世の常というもの。これまで幾度となく「ここだけの話」を聞いてきたが、その多くは複数人が知っている「誰もが知っている話」だった。あぁ、おっかない。
酒を飲んで、おしゃべりになってしまうのは、アルコールによって脳の前頭葉が麻痺してしまうから。通常、私たちの脳は理性を司る前頭葉によって理性が保たれている。つまり前頭葉は「理性のガードマン」的存在なのだ。「理性を司る」というだけに前頭葉はアルコールに強いのかと思ったら、実はその逆。運動機能などに関わる小脳、記憶を司る海馬に並び、前頭葉はアルコールの影響を非常に受けやすい。普段、前頭葉は理性で固まったがっちがちの堅物なだけに、酒によってフリーダムになると、とどまることを忘れ、「酒乱前頭葉」に変身してしまうのかもしれない。
また怖いのは深酒をすると、「ここだけの話をしたことすら忘れてしまう」なんて失態も。これは海馬が麻痺し、記憶をセーブできていないためである。それ故にお酒を飲んだ時は、いつも以上に話題の選択に注意しなくてはならない。
酒の席において、人の噂や悪口、秘密の話、自慢話は基本的にしないのがマナーというもの。その場にいる人全員がわかる共通の明るい話題をつまみにお酒を飲む。これがスマートな酔っ払いの条件でもある。と言っても、「ここだけの話」が大好物の人が多いんだよね。いや、もしかしたら前頭葉自身が好んで言わせているのかも? 今夜もどこかの酒場で「ここだけの話」が飛びかっていそうだ。












