波乱の主役だ。大相撲名古屋場所2日目(10日、愛知県体育館)、元大関の幕内朝乃山(29=高砂)が幕内宇良(31=木瀬)を上手投げで下して初日を出した。約2年ぶりとなる上位総当たりの場所で、かつての看板力士はどこまで通用するのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は朝乃山の優勝争いに太鼓判を押すとともに、3関脇による大関とりのキーマンに指名した。

 朝乃山が2日目に初白星を挙げた。初顔の宇良に圧力をかけながら前に出ると、得意の右四つから上手投げで完勝。取組後は「宇良関はしぶとい相撲を取るイメージ。怖がらずに、前に出た。ここから連勝していきたい」と黒星発進からの巻き返しへ意気込んだ。朝乃山にとって、今場所は約2年ぶりとなる上位総当たり。最高峰の戦いの中で、元大関の真価が問われる。

 秀ノ山親方は2日間の相撲内容について「初日の負けた相撲(明生戦)は少し硬さが出た。2日目はうるさい相手の宇良に対して、しっかり四つに組み止めて上手を取るまで我慢した。慌てずに相撲を取れたことが勝因。朝乃山らしい相撲だった」と分析。「上位で相撲を取る感覚を取り戻していけば、尻上がりに内容も良くなっていくと思う。1敗からでも優勝を狙える」と太鼓判を押した。

 その朝乃山には、相撲以外の部分でも〝アドバンテージ〟がある。秀ノ山親方は「(幕内後半の時間帯は)自分は警備の仕事で花道にいるから、会場の雰囲気がすごく分かるんですよ。朝乃山が出てくると、お客さんの声援が急に大きくなって、一番盛り上がる。本人にとっても、大きな力になるはず」と指摘。ファンの後押しも、追い風となりそうだ。

 さらに、秀ノ山親方は大栄翔(追手風)、若元春(荒汐)、豊昇龍(立浪)の3関脇による大関とりのキーマンに朝乃山を指名。「大関を目指す3人の関脇は直接対決での潰し合いもあるけど、朝乃山との対戦がカギになるのでは。朝乃山にも、はい上がってもう一度大関になる目標がある。元大関としての意地と気迫を見せてほしい」と期待を寄せた。

 今場所は貴景勝(常盤山)と霧島(陸奥)の両大関がそろって休場。初日から大関不在となり、昭和以降初の異常事態に直面している。さらに2日目には横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)に早くも土がつくなど、序盤から波乱ムードが漂う。荒れ模様の名古屋場所で、朝乃山が〝台風の目〟となる可能性も十分だ。