将棋の鈴木大介九段(48)が5月5日付で日本プロ麻雀連盟に入会し、2つの競技でプロとなる異例の“二刀流”をスタートさせた。新たな挑戦に踏み切った理由や、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」への思いを語った。さらに間近で見てきた羽生善治日本将棋連盟会長、藤井聡太七冠という将棋界の“2人の天才”について明かした。

 ――将棋と麻雀の“二刀流”を始めた理由は

 鈴木 麻雀は子供のころから始めていて、20歳くらいに一度麻雀プロになりたいなと思ったのですが、当時は将棋の対局が多かったので断念していました。今年の6月で将棋連盟の常務理事の任期が終わることも分かったので、このタイミングなら可能ではないかと思って始めました。

 ――2019年の「麻雀最強戦」で優勝するなど実績を積んできた。麻雀連盟では五段からのスタートとなった

 鈴木 将棋は九段である程度“打ち切り”で、上積み部分が少ないんです。麻雀は五段からなので、“ダブル九段”も狙ってます。また上を目指すリーグ戦が始まるのも楽しみですね。

 ――対戦したいプロは

 鈴木 自分も早打ちで感覚派なので、そういった意味では佐々木寿人プロですね。通ずるものはあるかなって思います。

 ――自身の雀風は

 鈴木 特長は「常に戦っていること」です。手が悪くてもなんでも戦い続ける。今風に言えば全局参加型なんでしょうけど、自分としては理想を求めて打ち続けているので、したくて参加しているわけじゃない。通る牌でオリるのは嫌ですし、はやりの牌効率に特化した麻雀とは真逆ですね。あとは相手からリーチがかかると燃えるタイプです。自分が前に出れば1対1の勝負になりますから。見逃しリーチも大好きなので、合わせ打ちは危ないと思いますよ。

 ――Mリーグ参戦も期待されている

 鈴木 それが一番理想ではあります。(過去の試合は)毎回、1試合も欠かさず見てます。

 ――もしあの舞台に立てるとしたら

 鈴木 もちろん自信があるからプロ入りも、Mリーグも目指しているわけですけど自分自身アマチュアが長くて、席を温めて打っていく長距離走タイプなので。そこはモデルチェンジしたいですね。

 ――先日、3期6年務めた日本将棋連盟の常務理事を退任した。自分の時間が増えたのでは

 鈴木 裏方をやっているころよりは明らかに増えてます。常務理事になった時に、理事の仕事以外は一切断ると決めて、テレビ解説も6年間一切出てなくて。将棋界の発展に尽くしたかったので、将棋の勉強をする暇もなかったですね。

 ――これからは将棋も麻雀もプレーヤーの立場

 鈴木 これからは月に麻雀のセットを10日、将棋の勉強会を10日、そして公式戦が5日あったらほとんど埋まるので。将棋も麻雀も好きなので、打っている時は苦にならないです。おそらく数年後には棋士兼麻雀プロが増えるんじゃないかと思ってます。将棋界はゲーム脳の天才が多いですし、AIで勉強する流れも盛んなので、(交流すれば)いろんな可能性が増えてくる。若手が気にしているのは対局日程なので、自分が将棋と麻雀両方に出場できていれば、後に続く流れはできるかなと思います。

 ――藤井聡太七冠が日本中から注目されている

 鈴木 それこそ藤井さんと一番最初に会った時は、中学生でプロになりたてで。自分はタクシーに乗せるまでの護衛役をやってたんですよ。よく理事室にも入ってきて普通に話していたんだけど、3年くらいたつと「藤井君」とは呼べなくなった(笑い)。

 ――藤井七冠の強さは

 鈴木 言語化は難しいですけど、今でも強くなり続けているってところですかね。もう対局してると、大きな壁に向かって指しているように感じるんですよ。こうやったら勝てるとか、おこがましくて言えないレベルに達してるのかなと思います。

 ――羽生会長と共通する点もあるのでは

 鈴木 オーラは結構似てると思いますね。今、藤井さんと対面したほとんどの棋士は萎縮すると思うんですけど、羽生さんにももちろんそういうオーラがある。

 ――羽生会長が将棋連盟のトップに就任した

 鈴木(忙しさの)影響は出るでしょうし、ご本人がどう調整されるかですよね。将棋界全体のレベルは上がり続けているので、一歩でも足を止めたら普通はのみ込まれちゃうんですよ。それでも「羽生さんなら…」という思いはありますね。自分は追いかけてきた世代ですから。一ファンとして注目してます。何といってもあと1期で通算タイトル100期という、最高のリーチがかかってますから。

 ☆すずき・だいすけ 1974年7月11日生まれ。東京都出身。94年にプロ入り。竜王戦(99年度)、棋聖戦(2006年度)の挑戦者となった。NHK杯戦(99年度)、早指し新鋭戦(96年度)で優勝。奨励会時代、伝説の雀士・桜井章一が設立した雀鬼会の道場に通っていた。19年に麻雀最強戦で優勝。