前WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(34=志成)のドーピング検査検体から、大麻成分(THC)の代謝物が検出されたと21日に発表した日本ボクシングコミッション(JBC)に対し、元日本ボクシング連盟会長の山根明氏(83)が怒りの声を上げた。WBA世界同級タイトルマッチ(東京・大田区総合体育館)で王者ジョシュア・フランコ(米国)に挑戦する直前での〝爆弾〟投下。男・山根はJBCの姿勢を強く批判した。

怒り心頭の男・山根
怒り心頭の男・山根

 JBCによると、大麻成分の代謝物が検出されたのは、昨年大みそかのフランコとのWBO・WBA世界王座統一戦終了後の尿検体。ただし、濃度が世界ドーピング防止機構(WADA)の基準を超えるものではなかったため、24日のタイトル戦は予定通り開催される。JBCは「日本における大麻などの違法な薬物の使用は一切認めていません」と強調し、井岡の処分の可能性について検討中だという。

 井岡の所属する志成ジムでは即座に声明を発表。潔白を主張しつつ、ジムに結果が知らされた5月26日にはすでにフランコ戦が決まっていたこともあり「このタイミングで発表することの必要性があったのかについては疑問が残ります」と怒りをにじませた。

 井岡サイドを代弁するように憤怒に満ちているのが山根氏だ。「けさ、モーニングでコーヒーを飲んでいる時に知りました。怒りを感じますよ。なぜに試合を控えている選手に対し、JBCはそういうことをいたすのか!」と語気を強めた。

 アマチュアボクシング界のドンとして、選手育成に尽力してきた同氏は、井岡を高校時代から東京農大2年でプロに転向するまで見守ってきた自負がある。「あの子は僕からしたら、真面目でええ子なんですよ。これまで気を使わせたらあかんと思って、自分から連絡していなかったが今年、電話がかかってきた。『ご無沙汰しております』って。83歳の男は感動しました」

 そんな義理堅いスターへの〝仕打ち〟に、とても黙ってはいられなかった。「井岡がルールに違反しているというのなら、処分すればいいだけ。ボクシング選手の試合前の精神状況はそれは微妙なものなんです。命がけや。それなのに、なぜこんなことをするのか。これはね、井岡を陥れようとしているとしか、受け取りようがない!」と主張した。

 井岡を巡っては、2020年大みそかの試合後にも検査で大麻成分が検出されたとして騒動となったが、JBC側の管理体制に問題があり、ドーピング違反に認定されず、処分もなし。JBCが井岡に謝罪している〝因縁〟がある。山根氏は「前回の件も(今回の発表の仕方に影響が)あるかもしれない。でもね、選手あっての組織なんですよ。済んでる話をほじくり返して。やってることが異常ですよ」とたたみかけた。

 今回微量とはいえ大麻成分が検出された点についても、山根氏は「僕は潔白と言う井岡を信じます」とキッパリ。24日の世界戦に向け「男・山根から井岡に『気にするな』と言いたい。初心にかえって、しょーもない話に振り回されず力出して勝て!」と力を込めた。