自宅で銃を製造、保管するなどしたとして、北海道警は11日、武器等製造法違反や爆発物取締罰則違反などの疑いで、札幌市の諏訪博宣容疑者(29)を追送検した。すでに火薬類取締法違反の罪でも起訴されていたこの男は「安倍晋三元首相が銃撃された事件で規制が強化されると思い、急いで材料を買いに行った」と供述する山上フォロワーだった。

 警視庁が昨年10月に別の事件に絡み自宅を家宅捜索した際、花火などに使われる黒色火薬を見つけ、道警に連絡。道警は同30日、法定の除外事由がないのに黒色火薬を所持した疑いで逮捕していた。

 道警は黒色火薬に加え、鉄砲1丁と爆発物3個を押収し、爆発物は2005年のロンドン同時テロでも使われた「HMTD」と判明。鉄砲は口径約20ミリで殺傷能力があった。自宅で試し撃ちもしていたという。追送検容疑は昨年4~7月ごろ、自宅で銃1丁を製造、同年10月29日に適合する弾丸や火薬とともに保管するなどした疑い。

 諏訪容疑者はインターネットで製造方法を調べたそうで、「材料はインターネットやホームセンターで買った。自殺目的だったが、作っているうちに自己顕示欲や優越感が満たされ楽しくなった」などと話している。

 自己顕示欲はネットで満たされていたようだ。ネットでは諏訪容疑者とみられる人物がたびたび登場していた。ネット掲示板に「これがアチアチ・黒色火薬ね」とのタイトルで、鉄製の灰皿のようなものに火薬を入れ、そこに火を付けたたばこを置き、花火のように爆発する動画をアップ。ものすごい火の勢いで危険なのがよく分かる。

 ネットでは「諏訪」「北海道在住」と自ら個人情報を明かしていた。ツイッターもあり、公開していた顔写真が地元ニュースに使われている。

諏訪博宣容疑者が自らネット掲示板にアップした黒色火薬と思われるものを燃やした動画(インターネットから)
諏訪博宣容疑者が自らネット掲示板にアップした黒色火薬と思われるものを燃やした動画(インターネットから)

 関係者は「もともとは北海道の秘境めぐりが趣味で、ナタやナイフを集めていた。沼や滝のことをブログで書いていたが、ほとんど読まれていなかった。ナイフから銃に興味が移っていったのかもしれない。ネットに黒色火薬動画を上げると注目されるようになり、それで承認欲求が満たされていたのだろうか」と指摘した。

 山上徹也容疑者による銃撃事件をきっかけに銃の材料となりそうなものの販売を規制しようという議論がされるようになった。供述では規制を見越して買った物もあるという。ある犯罪心理学者は「他者の事件から“勇気”と“はじけ方”を得て、実行する傾向がある犯罪予備軍はいる。銃を作ったからには使いたくなるもの。放置していたら、銃を人に向けた可能性はある」と指摘している。

 復讐が目的で自己顕示欲がなく黙々と銃を作り実行した山上容疑者とはタイプが異なるが、模倣犯になっていたらと考えると恐ろしいことこの上ない。