モンスターが勝利の裏で見せていた衝撃の姿とは――。ボクシングの世界バンタム級4団体王座統一戦(13日、東京・有明アリーナ)で、WBA&WBC&IBF王者の井上尚弥(29=大橋)が、WBO王者ポール・バトラー(34=英国)に11ラウンド(R)KO勝ち。史上9人目、アジア初の4団体統一王者となった。この世紀の一戦を「K―1」の生みの親でもある正道会館の石井和義館長(69)が徹底分析した。
試合は一方的な展開になった。序盤から距離を詰めた井上がパンチを叩き込み続け、バトラーはヘビににらまれたカエルのように手が出ない。ひたすらガードを固め、足を使って攻撃をしのぎ続けるのがやっとだった。中盤、井上は攻めてこない相手にノーガードを見せたり、手を後ろに組んだり、頭部を前に差し出したりするなど挑発する場面もあったが、バトラーは防御に徹してなかなか倒せない。
それでも11Rに強烈な右ボディーを叩き込むと、猛ラッシュを仕掛けてダウンを奪取。レフェリーが試合を止めてKO勝利を収めた。井上はリング上で「みなさん、ありがとうございました! 4団体統一王者になりました!!」と絶叫。「4団体統一を成し遂げた今、スーパーバンタム級の転向を考えています」と階級アップを明言した。
試合を見た石井館長は「すごかったですね。観戦したファンの人は大喜びだったのでは。最後にしっかり倒して、やっぱりスーパースターですよ!」と興奮気味。さらに「立ち方を試合中に3種類くらい変えていたんですよ。見ていて〝この人、空手の達人なのかい!〟って思いました」と続けた。石井館長が驚がくしたのは、モンスターが見せた変幻自在の立ち方だったという。
「最初は空手でいう『後屈立ち』の(後ろ足に重心をかける)足運びで間合いを取りつつ、上体を前屈して懐を深くしていました。これにより相手のパンチを上体のスエーバックだけで見切り、圧力をかけ続けることができた。この構えをボクシングで見ることはほとんどありません。そしてこれで間合いを見切ると、今度は空手で代表的な『ナイファンチ立ち』で両ヒザを絞って上体をひねり、体幹を使って強打を高速回転で連打していました。それにボクシング本来のステップも交えてリズムを変えて倒していました。沖縄空手の超達人の動きを見ているようでした…」
井上は試合後、相手が「前半しのいで後半勝負で来ると思っていた」と明かしている。それに合わせて自らも立ち方を変え、ジワジワと相手を追い込んでKO勝利を収めたというわけだ。石井館長は「とんでもないことです。とてつもない体幹力と、スタミナがなければできない。改めて、井上尚弥は怪物なんだと思いました」と感嘆した。
また、今後について「次はスーパーバンタム級に上げるんですよね? これからは対戦相手を探すのがさらに大変になるでしょうけど、次の階級でも4団体制覇を達成してほしい」と期待を込めた。新たなステージに上がるモンスターの次章からも目が離せない。












