防衛費増額に伴う財源を増税で賄う方針を示している岸田文雄首相に対し、高市早苗経済安全保障担当相ら〝身内〟からも批判の声が上がっている。これまで何事にも「耳を傾ける」「検討する」と繰り返しながら「何もしてこなかった」と言われる岸田首相が一転、防衛費増税にはまっしぐら。そんな首相の固い決意を、第2~4次安倍内閣で内閣官房参与を務めた京都大学大学院の藤井聡教授(54)は「愚の骨頂」と斬り捨てた。
岸田首相は13日、「責任ある財源を考えるべき。今を生きる国民が自らの責任としてしっかりその重みを背負って対応すべきだ」と改めて増税方針を強調し、理解を求めた。財源には法人税や復興特別所得税、たばこ税が検討されているが、経済界はもちろん、〝身内〟の政府・自民党からも批判を浴びている。
高市氏は10日、ツイッターに「総理の真意が理解出来ません」などと投稿。「閣僚の任命権は総理にある。罷免されるということであればそれはそれで仕方がないという思いで申し上げた」と〝相応の覚悟〟を持って意見したことを明かした。9日に行われた自民党政調全体会議でも反対意見が噴出していた。
東アジア情勢が緊迫するなか、防衛費増額には理解の声も少なくないが、その財源を増税とすることは専門家の目にはどう映っているのか。
経済再生のため積極財政策を唱えて続けている藤井教授は「結論から言って、岸田総理の防衛増税の議論は、今の経済状況が極めて厳しい不況状況にあることを鑑みれば『愚の骨頂』と断ぜねばなりません」と一蹴した。
藤井教授は一般論として「増税は短期的に税収を拡大しますが、長期にわたって経済を疲弊させ、最終的に財政を縮小させる効果を持ちます。つまり、増税をしても税収が増えるとは限らないのです」と指摘。
今の日本のように不況が続く状況では税収を減らすリスクの方が大きくなるため、増税ではなく国債の発行で経済を回復させることの方が得策だという。
「高市大臣や西村康稔経済産業大臣、故安倍晋三元首総理の発言は、その長期的な影響を視野に入れたものでした。しかし、岸田総理は増税についての短期的な税収拡大効果だけに着目し、長期にわたる経済・財政に対する縮小効果を軽視、ないしは無視しておられるようです」と語った。
岸田首相は国債を財源とすることに「未来の世代に対する責任として取り得ない」と否定している。
これについても「増税をして税収が減れば、かえって国債発行額が増えてしまいます。そうした増税による税収減リスクを無視して、軽々にこの不況状況下で増税を唱えることこそが『無責任の極み』と言い得る振る舞いです。財政に真に配慮した真の責任ある政治家なら、増税した場合としない場合のいずれが長期的に税収を増やすのかを考え、増税の可否を判断すべきなのです」と反論した。
藤井教授は〝富国〟あっての〝強兵〟だと訴えている。歴史を振り返っても、古代ローマ帝国から現代の米国や中国に至るまで、軍事大国は総じて経済大国だ。
藤井教授は「防衛増税等をしてしまえば、そのための絶対的条件である経済力が弱体化し、防衛力が中長期的に弱体化することは決定的となる」とした上で、「そもそも安倍元総理がおっしゃったように、そして、岸田総理が何度も繰り返し発言しておられるとおり『経済再生なくして、財政健全化なし。経済成長をまず達成し、その後に財政を健全化すべきである。その順番をまちがえてはならない』のです。岸田総理には、ご自身が何度もそうおっしゃった言葉を今一度思い出していただき、賢明なる判断を心から祈念したいと思います」と岸田首相に再考を促した。












