最近の岸田政権を見ていると「深海魚」のように思えてくる。どの世論調査でも30%台の支持率という「深海」で生息している。そこで生きていくことができるような独自の生態系を作ることに成功したのかもしれない。

 衆議院、参議院の双方で与党が多数を占めているのに1か月の間に閣僚が3人も辞職に追い込まれるという前代未聞の事態になっているが、政権が倒れる兆しはない。

 その理由は2つある。第1は野党が弱すぎることだ。与党から「万一政権交代が起きても大混乱に陥る。さまざまな問題があるが、自公連立政権の方が安定している。選挙での争点は、安定か混乱かだ」と攻勢をかけられると、国民は安定を選択する。

 第2は、自民党内で「岸田に代わって天下を取ってやる」という気迫に溢れた政治家がいないからだ。この状況が岸田氏が深海魚になって生き残る環境を整備したのだと思う。

 2日夕刻の時事通信の報道を巡って、永田町(政界)ではコップの中の嵐が起きた。

<自民党が、公明党との連立政権に国民民主党を加える案を検討していることが2日、分かった。自民、国民両党の幹部が水面下で接触を続けており、調整が付けば連立協議に入る。岸田政権は世界平和統一家族連合(旧統一教会)問題などで内閣支持率が低迷しており、国民の連立参加で政権運営の局面展開を図る狙いがある。/(中略)自民党関係者によると、国民側との交渉は岸田文雄首相と麻生太郎副総裁も了承している。この関係者は「あとはタイミングだ。今の政権はこれくらいのカンフル剤を打たないと良くならない」と述べた。連立に国民を加えることで、自民が公明に配慮する場面が少なくなるとの見方も自民党内にある>。この報道が出ると、岸田首相も国民民主党の玉木雄一郎代表も事実無根と否定している。

 岸田首相は、<「どこからそういった情報が出たのかは知らないが、私は全く知らないし、私自身考えていない」と否定した>(3日「朝日新聞デジタル」)ということだ。

 この種の話がまとまる前に報道されれば、関係者がそれを否定し、話が立ち消えになるのが普通だ。岸田政権が生き残りのために、野党の一部を与党に裏返し、大連立化に向けて画策するシナリオは依然残っていると思う。

 ここで鍵を握るのが公明党だ。公明党の支持母体である創価学会の協力なくして自民党が選挙で勝利することはできない。この現実が「深海魚」である岸田政権幹部には見えていないのだろう。