【FIFAワールドカップ】森保ジャパンの“F1ファイブ”が強豪撃破の武器になる――。日本代表はカタールW杯1次リーグ最終戦のスペイン戦(12月1日=日本時間2日)に向けて全公開で練習を行った。優勝候補のスペインはE組最大の難敵だが、勝機は十分にある。オリンピアンの名伯楽は森保ジャパンの特色の一つである“超加速”がポイントになるとズバリ分析した。

 森保ジャパンにとって運命の大一番は優勝候補が相手となる。厳しい戦いが予想されるが、陸上短距離の日本代表として1992年バルセロナ五輪に出場し、数々の有名サッカー選手を指導する名トレーナーの杉本龍勇・法政大教授(52)は専門とする走力の視点から日本の勝機を見いだした。

 欧州組の指導から世界のサッカーにも精通する杉本氏は「今はうまい選手が運動量を出すので、そこはストロングポイントにならない」とした上で、強豪撃破には走力の中のある部分が重要になると見ている。

「どれだけ“加速力のあるスプリント”をできるか。例えば立ち相撲をするならドイツなどのほうが体がデカいので有利だが、走りながら高い加速力のもとでコンタクトできるのであればフィジカルベースから言っても日本が負ける可能性は低くなる」と森保ジャパンの武器を強調した。

 それはスペイン戦でも有効だ。「速いスピードの中でのボール技術はより難しくなってくるし、短い距離でグッとスピードを上げて、余裕を持ってボールのところにプレーにいくとか、そういう状況でコンタクトをできればいい試合ができる。十分渡り合える。とにかく逃げずに、無駄に長い距離を走るよりきちっと急加速をどれだけ90分の中で繰り返せるかにフォーカスを当ててやれればいろんな局面を打開できる。加速力の高いスプリントをやれれば可能性は大きくなってくる」

 単純なスピード勝負ならば欧州や南米、アフリカ勢などが有利ではあるが、森保ジャパンの選手たちの特長はいわば“超加速”。実際に大金星を挙げたドイツ戦では、決勝弾のFW浅野拓磨(28=ボーフム)が決勝ゴールを挙げ、MF三笘薫(25=ブライトン)とMF伊東純也(29=スタッド・ランス)が両ウイングバックで躍動した。

 さらに先発で“幻のゴール”など存在感を見せたFW前田大然(25=セルティック)がそうした特長を前面に出して存在感を発揮。守備陣でも「DF板倉滉(25=ボルシアMG)は、それが彼が向こう(欧州)でやれている要因になっている」と同様のスプリント能力が期待できる。

 まさに日本を象徴する5人のスピードスター。スペイン戦に向けて伊東が「ラインは高いなと見ていて思ったので、そこを突ければ」と話せば、前田も「(相手の)GKはプレスをかけられると結構おどおどしていた。そこはチャンス」と揃って自慢の“超加速”で相手を追い込む覚悟だ。

 かつてプロ野球の名将、故野村克也氏は阪神監督時代に俊足選手を前面に出して「F1セブン」(別項)と命名したが、森保ジャパンの“F1ファイブ”が再び世界を驚かせる。

【野球界の「F1」選手たち】
野球界でもスピードを売りにした例はある。代表格は1985年の大洋(現DeNA)の「スーパーカートリオ」だ。就任1年目の近藤貞雄監督は俊足の3人を1番・高木豊(42盗塁)、2番・加藤博一(48盗塁)、3番・屋鋪要(58盗塁)と並べた。同一チームで3人が40盗塁を記録したのはNPB史上初だった。
 2001年の阪神の「F1セブン」も有名だ。野村克也監督が俊足選手を売り出そうと命名した。メンバーは赤星憲広(39盗塁)、上坂太一郎(7盗塁)、藤本敦士(2盗塁)、沖原佳典(2盗塁)、松田匡司(2盗塁)、高波文一(1盗塁)、平下晃司(ゼロ)の7人だ。残念ながら赤星以外は「F1」ではなかった…。


☆日本の決勝T進出条件は…
日本は1次リーグ最終戦でスペインに勝てば無条件で突破が決まり、負ければ敗退が確定する。引き分けなら、同時刻キックオフのコスタリカ―ドイツの結果次第。コスタリカが勝てば望みを断たれ、ドローなら16強入り。ドイツが勝てば、得失点差などで決定する。