突破口はあるのか――。20日開幕のカタールW杯で初の8強進出を目指す森保ジャパンは、1次リーグE組でドイツ、コスタリカ、スペインと激突する。優勝経験国を含む〝死の組〟で、どの試合も厳しい展開が予想される中、本紙は対戦国の「国民性」に注目。文化や現地事情に詳しい専門家の見解をもとに、攻略のヒントを探った。

【ドイツ】森保ジャパンが1次リーグ初戦(23日)で激突するドイツは、言わずと知れた強豪国。優勝回数はトップのブラジル(5回)に次ぐ4回を誇る。

 ドイツ文化に詳しい二松学舎大の押野洋教授は「規律を重んじる点でドイツ人と日本人は似ていますが(調べていくと)共通点よりも差異のほうに目がいくようになりました。一般的に日本人は『個人は社会の一員である』と考えているのに対し、ドイツ人は『自分は社会の一員ではなく、その代表』と捉えています」と解説する。

 その一例として、ドイツ国内では公園の遊具の利用年齢が細かく示されたり、危険な場所は自己責任を求める掲示物が少なくないという。「利己主義で個が強いため、原理原則で全体を律しないとダメなのでしょう」

 そんなドイツ人の気質につけ入る隙はあるのか。押野氏は「(旅行などで)万事計画的に行いたいのがドイツ人の特徴。ですから、ドイツ人はハプニングに弱いんですよ。想定外の事象に弱いのがドイツ人と言われています」。奇襲や相手の裏をかくトリッキーなプレーが攻略の糸口となるかもしれない。

【コスタリカ】2戦目(27日)に対戦するコスタリカは2014年ブラジルW杯で8強入りの実績を持つ。

 現地で野球の普及活動に携わった桜美林大の宮崎光次教授は「(隣国の)パナマ、ニカラグアやカリブ海のキューバ、ドミニカは野球が盛んですが、コスタリカはサッカー。スペインの影響をかなり受けていると思います」。国民性については「ものすごく親切な方が多かったですね。非常にホスピタリティーがあって温かいなと。人懐っこい一面もあり、日本人に近い印象を受けました」と振り返った。

 一方、あくまで野球を通じた視点と前置きした上で「途中まで頑張っていても、無理だったらあきらめちゃうところがあるのかなと。点差がつくとシュンとしてしまうというか、粘り強くというのは(少ない)」と指摘。日本の先制攻撃がはまれば、大勝する展開もありそうだ。

【スペイン】最終戦(12月1日=日本時間同2日)で当たるスペインは、2010年南アフリカW杯で悲願の初優勝。14年ブラジルW杯は1次リーグ敗退、18年ロシアW杯は16強止まりだが、難敵であることは間違いない。

〝情熱の国〟として知られるスペインの特徴について、同国の文化人類学を研究する早大の竹中宏子教授は「小さいころから『個』がすごく尊重されます。先生はまとめようとはせず、空気を読んでということも絶対言わず、それぞれが育っていく感じですね」と説明する。

 それでも集団がバラバラにならないのは「各自が役割をちゃんと分かっていて、果たそうとする。個がどんどん伸びて、彼らが一緒になるとすごいエネルギーになると思う。だから、乗せると大変」と分析した。

 では、無敵艦隊を止める方法はあるのか。竹中氏は「イラつかせることですかね。世代が代わって我慢できるようになったかもしれませんが、何度シュートを打っても入らないのが一番のストレスだと思うので」。粘り強い守備で相手の猛攻をしのいで勝機を見いだしたいところだ。