今度こそ、元大関の貫禄を示せるか。大相撲九州場所初日(13日、福岡国際センター)、幕下朝乃山(28=高砂)が幕下大成龍(29=木瀬)を寄り切って白星スタートを切った。9月の秋場所は全勝優勝を逃し、関取復帰に失敗。今場所は優勝できなかった場合でも再十両の可能性がある中、本人はあくまでも無傷で関取の地位を取り戻す構えだ。

 朝乃山が白星発進で無難な滑り出しを見せた。取組後は「自分の体が硬かった。緊張で硬かったと思いますので、もっとリラックスしていきたい」と冷静に自己分析。当面の目標である関取復帰へ向けて「今場所で決めるという気持ちもあるんですけど、そういうことを考えたら硬くなる」と平常心で臨むことを強調した。

 秋場所は東幕下15枚目で6勝1敗。全勝優勝を逃し、関取への返り咲きは持ち越しとなった。今場所は東幕下4枚目。全勝や優勝を逃しても再十両の可能性があるだけに、先場所に比べればハードルは格段に低い。ただ、かつては大相撲の看板を背負った立場。V逸や番付運に恵まれての十両復帰では本人も周囲も納得はしない。

 朝乃山の学生時代をよく知る相撲関係者は「(幕下では)相当圧力のある相手でなければ攻め込まれることはないと思うので、どっしり構えてほしい。緊張せずに頑張ってもらえれば絶対に(十両に)いけると思う。本人も〝6勝1敗で上がるのはダサい〟と思っているはず」と元大関の思いを代弁した。

 もちろん秋場所の結果が示す通り、元大関と言えども油断は禁物だ。前出関係者は先場所の相撲内容について「下がる相撲がなかったし、あとは気持ち(の部分)だったと思う。自分の中で『優勝、優勝』となって焦ってしまったんじゃないかなと。7番という少ない番数だし、すごく緊張したと思う」と分析。「(相手が)組んでくれれば絶対に負けないが、突き押し相撲が苦手なんだと思う。インカレ(全国学生相撲選手権)の時も一山本(放駒)に突っ張りで負けたことがあった」と課題を指摘した。

 朝乃山は「先場所のあの1敗があったからこそ、これからの自分の相撲人生につながると思う。将来はあの1敗があったからこそと言いたいです」ときっぱり。誰が見ても文句なしの成績で、関取の地位を取り戻すつもりだ。