勝利の裏にある意外な存在とは――。ボクシングのWBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(30=BMB)が、WBA同級スーパー王者の京口紘人(28=ワタナベ)との2団体統一戦(1日、さいたまスーパーアリーナ)を豪快なKO勝ちで制した。的確なジャブと高速の出入りで距離を制し、2度のダウンを奪って完勝。7ラウンド(R)TKO勝利には〝仮想京口〟が大きな役割を果たしていた。

 10年ぶり2度目となった日本人同士の統一戦は、拳四朗が強さを見せつける結果になった。

 序盤から的確な打撃で相手の顔面をとらえ続け、京口を追い込んだ。テンポの速い打撃を叩き込んでいくと、5Rに最初のダウンを奪った。その直後、意地の反撃を食らうが、決定打は許さず。最後は7Rに強烈な右ストレートを叩き込み、ヒザから崩れてロープに倒れ込んだ京口をレフェリーが抱えて2分36秒でTKO勝ちが告げられた。

 試合後、マイクを持った拳四朗は「ひと言で言うとホンマに幸せ」と笑顔を見せた上で、傍らの加藤健太トレーナーに「僕は加藤さんに強くしてもらっている。加藤トレーナーの言う通りに動いたという感じです」と感謝を口にした。さらに直前の試合で岩田翔吉(26=帝拳)を下し、王座を防衛したWBO同級王者のジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)との3団体統一王座戦を希望。「もっとレベルアップして4団体統一まで絶対いける自信がある」と先を見据えた。

 実はこの試合の直前、拳四朗は意外な選手とスパーリングを行っていた。それはキックボクシングを卒業した那須川天心のライバル・志朗だ。6月のビッグマッチでK―1の玖村将史にまさかの判定負けを喫し、再起戦となる10月の大崎孔稀戦を控えていた志朗が、加藤トレーナーと共通の関係者を通じ実現した。

 9~10月にかけて、5Rのスパーリングを2回行ったという。キックボクサーとの異色スパーを、加藤トレーナーは「(志朗は)体が強いのと、キックは(ボクシングに比べて)距離が遠いので、そういう相手に距離をつぶしていく練習ができたので、いいスパーリングだったと思います」と明かした。

 さらに「志朗君はボクシング技術がすごいあるし、受けても返せるフィジカルがある。京口君もフィジカルがあるので、そういう意味でいい練習になりました」。〝仮想京口〟として最高の練習相手だったわけだ。

 拳四朗は志朗について「大きい相手とやりあえたのはすごく自信になりました」と感謝。さらに志朗にもこの練習の効果があったか、大崎戦に勝利したことに「自分とスパーリングした相手が勝ったのはうれしいし、バトンを受け取った気持ちになりました」と大きな刺激も受けた。

 目標に掲げる4団体統一へ、まずはゴンサレスとのタイトル戦を目指す。「まだまだ強くなれるのかなと思います」と断言する2団体王者はどこまで進化していくのか。