演歌歌手・坂本冬美(55)が、コンサートで長く歌ってきた歌謡浪曲4作品を1枚に収録した歌謡浪曲集大成のアルバム「坂本冬美 歌謡浪曲名作選」を11月9日にリリースすると発表した。
坂本は2002年3月に休業を宣言。歌に自信をなくし「このまま引退してもいい」という気持ちで、和歌山県の実家で過ごしていた。
休業中、脳裏をよぎった〝引退〟の2文字を払拭してくれたのが、二葉百合子さんの歌謡浪曲「岸壁の母」だった。「台所にいたら、部屋でテレビを見ていた母から声をかけられた。『二葉百合子さんのコンサートをやっているよ、あなた見たら?』って」と坂本。言われるままにテレビの前に行くと、力強い歌声が流れてきた。
「一瞬で吸い込まれた。私がすがれるのは先生だけ。強いノドと、強い精神力があったら、もう一度歌えるかもしれない」と思い、二葉さんに手紙を書いた。歌のレッスンを快諾した二葉さんから掛けられた言葉は「あなたも歌の壁にぶつかったのね。それは成長の証しよ」。自信と歌声を取り戻し、坂本は03年4月に復帰した。
「岸壁の母」オリジナルは菊池章子さんの歌唱で、1954年に発売され大ヒットした。1972年に二葉さんがカバーした歌謡浪曲「岸壁の母」が再び大ヒット。以来、「岸壁の母」は二葉さんの代表曲となった。多くの歌手がこの歌を唄い、レコーディングも行っている。
坂本も二葉さん直伝の「岸壁の母」を唄い、2005年発売のアルバム「浮世草紙」に収録。二葉さんは08年に引退し、その際、自分自身が歌ってきた歌謡浪曲を弟子たちに歌い継いでもらいたいと願った。「岸壁の母」を指名されたのが坂本だ。二葉さん自身が浪曲作曲したロングバージョン「岸壁の母~歌謡浪曲~」を歌い継いでもらいたいと願ったという。「うまく歌わなくていい! でも、あなたはきっと心でこの歌を唄い継いでくれる。私はそれを信じています」という二葉さんの言葉に、坂本は歌い継いでいく覚悟を決めた。
今回リリースのアルバムには、二葉さんの歌唱監修のもとに「岸壁の母」を含むスケール感あふれる4曲が収録されている。坂本は「休業中、運命の出逢いとなったのが二葉百合子先生。二葉先生が長年大切に歌って来られた『歌謡浪曲』を直々にご指導頂き、復帰後のステージから私なりに二葉先生のお心を受け継いで歌わせて頂いております。先生にご指導いただいた、この20年の集大成とも言える4曲に魂を込めて歌わせて頂きました。改めまして二葉先生に心より深く感謝申し上げますとコメントしている。












