フィギュアスケート女子で2018年グランプリ(GP)ファイナル覇者の紀平梨花(20=トヨタ自動車)は、葛藤を抱えながらも前に進んでいる。

 昨季は右足首などの故障でGPシリーズ、全日本選手権など、全ての大会を欠場。「10~12月はずっとつらかった」と振り返るように、どん底を味わった。それでも「神様は今回も私に強くなるための経験をくれた」と気持ちを切り替え、練習に励んできた。ただ、まだ万全とは言い難いのが現状。3回転ジャンプの練習を始めたのは今週からで、今でも足に痛みを感じることもあるという。

 しかし「やっぱり全日本を捨てるのは、ちょっと無理」と、全日本選手権の予選会を兼ねる中部選手権(23~25日、愛知・邦和みなとスポーツ&カルチャー)への出場を決断した。24日の女子ショートプログラム(SP)では、冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を着氷すると、3回転サルコー―2回転トーループの連続ジャンプ、3回転トーループも成功させ、56・69点で6位発進。「とりあえず大きなミスなく終えられたので、次につながる演技だったなと思う」とホッとした表情を見せた。

 昨年4月の世界国別対抗戦以来、525日ぶりとなる実戦。「『早く復帰するには完治でしょ』っていう自分の中の意見もあるし、でも、やっぱり出たいし、どっちの思いもある」と迷いは消えていないが、リンクに立った以上は「出るんだったら、跳ぶしかない」。完璧な状態に程遠いとはいえ、世界を知るスケーターの風格が随所に垣間見えた。

「早く完治させたい。完治させたら絶対(完全復活まで)早いっていう自信はあるし、すごいトレーニングも頑張ってきたので、自信を持って試合に出られるようになるのが夢です」

 大ケガを経験し、スケートへの思いを再認識した紀平。ここからははい上がるのみだ。