苦手意識はなかった。大相撲秋場所2日目(12日、東京・両国国技館)、元大関の幕下朝乃山(28=高砂)は昨年学生横綱で幕下15枚目格付け出しの川副(23=宮城野)を寄り倒して白星発進。圧力をかけながら相手を冷静に土俵外に退け、取組後は「(相手のことを)変に意識しないように、自分の相撲を取りきることだけ考えてやりました」と振り返った。

 注目の一番だった。日大出身で165センチ、110キロの川副とは「(9日)金曜日の編成会議で当たると聞いた」。前日、2日前には大学時代の取組を確認し「土俵際でのうっちゃりとか技を警戒」するなど対策を練ってきたという。「勝っていけば当たると聞いていました。でも、まさか初日とは思わなかったので、当たったからにはしっかり倒しに行くという気持ちだった」と話すように、元大関の実力を示した。

 コロナ対策の規則違反による6場所出場停止処分を受けた朝乃山は7月の名古屋場所で約1年2か月ぶりに復帰し、7戦全勝で三段目優勝。西三段目22枚目から東幕下15枚目まで番付を上げた。

 場所前には同部屋の十両朝乃若が新型コロナウイルスに感染。相撲を取る稽古ができず基礎運動やウエートトレーニングなどで汗を流してきた。それでも「8月の出稽古でしっかり相撲が取れた」と不安はない。

 この日も観客から大きな拍手を浴びて「すごくうれしかった」と朝乃山。今場所も全勝で幕下優勝すれば、九州場所の再十両も見えてくるが「先のことは気にせず、取組がある日は本土俵で取らせてもらえる感謝の気持ちを忘れず、一日一番自分の相撲を取っていきたいです」と気を引き締めた。