最後の“安倍チルドレン”だ。10日の参院選で、自民党から東京選挙区に出馬した元「おニャン子クラブ」の生稲晃子氏(54)が当選したが、一体どんな政治家になるのか。安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件を受け、生稲氏をバックアップした安倍派の今後も不透明となり、生稲氏はいきなり政局に放り込まれることになる。頼りなさげだが、関係者は「彼女は大化けする」と予測した。

「夢を見ているようで頭の中がからっぽになっています。本当にここまで私を連れてきてくれてありがとうございました」

 10日午後11時半過ぎにようやく当確が出た生稲氏は支援者にこう感謝を述べた。非業の死を遂げた安倍氏についても「悲しくてしようがない。当選することが恩返しだと思っていたのでよかった。安倍先生がどこかで自分を見ていると信じています」と自分に言い聞かせるように話した。

 生稲氏にとって安倍氏は政治家転身のきっかけをつくってくれた人物でもある。2016年に安倍氏が生稲氏を働き方改革実現会議のメンバーに選び、生稲氏は自らの乳がん経験から得た知見を披露。病気を抱えながらでも働き続けることができるための支援「トライアングル型支援」を提案し、政策として採用されていた。

 選挙戦でも初日に安倍氏は2か所で生稲氏の応援を行う力の入れようをみせていた。生稲氏が候補者アンケートにほとんど無回答だった件などでバッシングされ厳しい情勢となると、緊急選対会議を呼び掛けたのも安倍氏だったという。本来なら選挙戦最終日となる9日も応援演説を行うはずだった。

 安倍氏が最後に国政に送り込んだ人物が生稲氏だったのだ。そんな恩人であり、実力者でもあった安倍氏の不在で生稲氏はどうなってしまうのか。これからの安倍派は政局含みで新人が乗り切るには難しい波乱もあり得る。

 永田町関係者は「生稲氏は化ける可能性があります」と指摘した。「世間の評判では『採決要員だ』『お飾り』などと言われていますが、大臣までやられた丸川珠代氏だって初出馬のころは似たようなものでした」と振り返った。

 元テレビ朝日アナウンサーの丸川氏は07年の参院選に出馬。初めての選挙中、マスコミを集めて期日前投票をしようとしたが住民登録の不備でできなかったなど、政策より話題が先行していた。

 ところが国会議員になると変化。自民党が野党時代には鳩山由紀夫首相(当時)に「ルーピー(愚か)」と叫んだり、民主党政権が強行採決をしたときは「愚か者めが!」と糾弾したりと“ヤジ将軍”となったのだ。さらに、与党になって以降は15年に環境相兼内閣府特命担当相(原子力防災)として初入閣。五輪担当相も務めた。

 前出の永田町関係者は「丸川氏が変化したのは選挙区だからというのが大きい。他党だけでなくもう1人の自民党候補とも争わないといけないなど、競争が激しい。自民党区議らがバーベキューパーティーをしたら、そこに丸川氏があいさつに来て、区議らが『こんなとこまで来るの!』とビックリしたというエピソードもある。泥くさい活動をする中で本物の政治家になっていく。生稲氏も選挙区ですからね」と明かした。

 与党になるとヤジる場面は多くはないが、三原じゅん子参院議員が野党に「恥を知りなさい!」と本会議場で発言したこともある。次は生稲氏が「恥を知りなさい!」と言っても不思議ではない。「ずっと続けていれば大臣もあり得ますよ」(同)

 最後の安倍チルドレンとして大化けするのか。