陸上・世界選手権(米オレゴン州)が25日に閉幕した一方で、早くも来年以降に向けた戦いが始まっている。ケガの影響で5月の日本選手権女子1万メートルを棄権し、世界選手権出場を逃した不破聖衣来(拓大2年)は、指導する五十嵐利治監督とともに、現地で1万メートルのレースを観戦。なぜ、わざわざ米国まで足を運んだのか。取材に応じた五十嵐監督が、その意図と今後の展望を明かした。
五十嵐監督は不破と現地観戦した理由について「私は2011年世界選手権(韓国・大邱)に行ったが、独特の雰囲気があった。やっぱりテレビとスタジアムで実際に見た時のギャップの差がすごかった」と説明。近い将来の世界挑戦を見据え、そのレベルや雰囲気を早いうちから感じさせる狙いがあった。
日本選手権の棄権を決断した5月4日、すぐさま不破に米国行きを提案したところ「ぜひ肌で感じてみたい」と即答。初めて生で見た世界選手権では、トップランナーのレベルの高さを痛感したという。
「聖衣来はスタジアムの独特な雰囲気や(今大会金メダルの)レテセンベト・ギデイ(エチオピア)や(東京五輪金メダルの)シファン・ハッサン(オランダ)の位置取り、本当に省エネで勝つために最後まで勝負に徹した走りであったり、ラスト1周のスピード感だったりとか、そういったものをすごいと話していました」(五十嵐監督)
ここで〝世界基準〟を学んだことは、貴重な財産となった。五十嵐監督によると、不破は「今後同じ舞台で戦っていくためには、今まで通り取り組んでいる食事の面も含めた体づくりをもう一度しっかりとやって、スピードとかで勝負できるだけの、それに耐えうるトレーニングができる体をつくらないといけない」と再認識。改めて自分に足りないものを見つめ直している。
不破は将来的にマラソンで勝負する意向だが、パリ五輪は1万メートルでの入賞を目標に掲げている。五十嵐監督は「7000メートルまでのラップタイムは聖衣来も十分に対応できると思うが(世界選手権で)上位の選手たちは7000メートル以降の1000メートルを2分台のペースで走っていた」と分析。その上で「最後の3000メートルを8分台で走るスピードを身につけることを残りの2年でやっていかないといけない」との共通認識で、トレーニングを行っていく方針を示した。
ただ、焦りは禁物だ。実戦復帰のタイミングについては「特にここに合わせてというのは考えていなくて、今できる練習をやっていくところを一番に考えている」と五十嵐監督。28年ロサンゼルス五輪のマラソンでメダルを獲得するために、まずは体づくりに全精力を注ぐ。












