神様の〝お許し〟が出た――。大相撲名古屋場所千秋楽(24日、愛知県体育館)、幕内逸ノ城(29=湊)が12勝3敗で初優勝。師匠の湊親方(54=元幕内湊富士)は賜杯がかかっても平常心を貫いた弟子を見守ってきた。

 今場所の逸ノ城は横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)を破るなど、初日から6連勝とスタートダッシュに成功。横綱とのV争いトップを並走し、最後は制した。師匠は「体重的にもそんなに変わっていないというか、210キロぐらいあると思うけど、立ち合いが低く、上手が早く取れている。いい動きができているんじゃないか」と語っていた。

 また、普段は敗れると助言を送るが「今場所に関しては何も。最初がすごくよかったので、自分で立ち直れると思って」とあえて口を挟まなかった。

 入門後は「すぐに強くなると思った」。予想通り新入幕を果たした2014年秋場所でいきなり13勝(2敗)。翌九州場所は関脇に昇進した。

 しかし、上位の壁に阻まれて足踏みが続いた。19年春場所は14勝(1敗)を挙げるも優勝には届かず。その後はヘルニアの症状に悩まされた。師匠は「神様はまだまだそれじゃダメだぞと。相撲の神様が許さなかったんでしょう」と語った。

 ただ、故障をきっかけに変化を感じるようになったという。「ケガする前はがむしゃらで、怖いものなし」だったが、最近は落ち着いた印象を受けている。逸ノ城自身、周囲のサポートに感謝しているように師匠も「どん底になればなるほど見えるものがある。これだけみんなに支えられているんだと。そういうのが強く育っているんじゃないか」と話した。

 肉体はもちろん精神面の成熟を「相撲の神様」が見てくれていたのかもしれない。