参院選当選を目指すタレント水道橋博士氏が政策課題とする、「反スラップ訴訟の法制化」。自身が日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)に提訴された名誉毀損訴訟が「スラップ」であると主張している。その当否は別として、同訴訟がメディア関係者の間で大きな話題になったのは15年ほど前にさかのぼる。
「スラップ」は「SLAPP」(Strategic Lawsuit Against Public Participatiоn=公共性のある市民活動に対する戦略的訴訟)を意味し、語呂が「SLAP」(たたく)と同じであることから、市民やメディアの活動に巨額の賠償金を求めて提起し、その動きを抑え込もうとする大組織や権力者による恫喝的な訴訟を示す言葉として使われるようになった。
2007年、「週刊東洋経済」の記事に対し、人材派遣大手企業が約10億円の損害賠償を求めて起こした名誉毀損訴訟が同社によって取り下げられ、終結。提訴が03年だったこの裁判は、自社に都合の悪い言論を封じる「スラップ訴訟」だと批判された。
09年には、大手音楽情報企業が雑誌記事を巡って、編集部にコメントしたジャーナリスト個人を訴えた異例の訴訟が、控訴審で企業側が請求を放棄する形の和解で決着した。提訴は06年で、コメントを不正確に掲載した雑誌側は被告ではないが責任をとった。
企業側は当時、提訴について「お金ではありません。個人攻撃でもありません」とコメントしたが、請求額が5000万円と多額であり、スラップ訴訟だと批判の声も上がっていた。終結した時期が東洋経済の件と近かったことから、〝恫喝的訴訟〟の典型例のように紹介された。
言論活動以外でもスラップ訴訟と問題視される裁判は少なくない。米国では規制をかけている州もあるという。「東洋経済ONLINE」は09年のウェブ記事で、「批判を封殺する訴訟を抑止する法整備が必要」だと主張している。












