米国カリフォルニア州北部で今月上旬、嵐が去った後に海岸が一面“巨根の群れ”に埋め尽くされるというチン事が発生し、地元ではその異様さから大騒ぎになった。

 急きょ特集を組んだ同州の科学誌「ベイ・ネーチャー」(電子版)によると、ドレイクスビーチを覆ったのは、打ち上げられた数千匹の“ペニスフィッシュ”。ピンク色の無脊椎動物で、個体の平均サイズは25センチ。見た目はかなりグロテスクで“真性包茎の巨根”そのものなのだ。

 同誌は生物学者アイバン・パー氏の話として「この生物は通常、干潟などの浅い砂泥地に生息しているが、嵐により海岸に打ち上げられたようだ」と伝えた。また、満潮時には体の先端にある口(吻)から粘膜の網を広げて伸び縮みするぜん動運動を行い、それにより付着したプランクトンの死骸や排せつ物など有機物をエサに生きている。まだ謎の多い生物だが、驚きなのは寿命がなんと25年と長いことだ。

 この“ペニスフィッシュ”、日本ではユムシと呼ばれ、北海道ではルッツ、九州ではイイマラなどの異名を持ち、珍味として重宝されている。北海道石狩市周辺では秋から冬にかけ、大シケの後に浜辺に打ち上げられたユムシを刺し身や酢みそあえ、煮物や干物などにする。福岡県では豊前海の干潟の砂地で冬の寒い時期にだけ採れ、刺し身などで食べられる。中国や韓国でも食用になっている。

 カリフォルニア州北部に生息するというユムシだが、海産物として食べる習慣はなく、大量に打ち上げられたユムシはカモメなどのごちそうになったようだ。